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☆abmz
君笑う(阿水)
※『君憂う』の続きです。
※大学生パラレル

















「はぁ〜、気持ちよかったー。」



風呂から上がり部屋に戻ると、阿部がビール片手にテレビを観ていた。
俺が近付くと、ナイターに夢中になってた阿部が気付いて、振り返る。



「お前も飲むか?」

「いや、いいよ……あれ?おつまみ何もいらねーの?昨日の残り無かったっけ……?」


一旦阿部の座る右手側に腰を下ろした俺だけど、おつまみも無く晩酌してる阿部を見て、昨日の残りだけど出してあげようと思い立ち、またすぐに腰を上げた。俺の家だから俺の方が勝手を分かってるし。
台所に向かって歩き出そうとすると、阿部に右腕を引っ張られた。
バランスを崩して阿部の隣にしゃがみ込む。



「……つまみはお前がいい。」

「…は?面白くないんですけど。」



しゃがみ込んだ俺に阿部が横から抱きついてきたから、そういう雰囲気の事言ってきそうだな〜って思ってたら、案の定くだらないエロオヤジ発言をしやがったので、酷く冷たくあしらってやった。



「……冷たくね?」

「当たり前じゃん。二週間前、酔った勢いで俺の事襲いかけたの誰よ…?」


「…う、っ………。」

「罰として、俺、阿部とは三ヶ月そういう事しないから。」


「はぁ!?……さ、三ヶ月も…?」

「そう。三ヶ月。」


まじかよ…。と呟きながら、阿部が目を丸くして腕の中の俺を見る。俺も真っ直ぐ阿部を見つめ返した。



「……それとも…阿部は、俺のカラダが目当てだったの?」

「そ、そんな訳ねぇだろ!」



わざと俯きながら悲しそうな表情を見せれば、阿部が慌てて否定する。
そんなムキになんなって、冗談だろ〜?大丈夫だって!自分のカラダがそんな魅力的だとは、誰も思ってないから。何より、阿部がそんな人じゃないって事くらい分かってるから。



「あ、一人でする分には全然構わないからね。無理せず出しなよ?」

「…………お前はどうすんの?」


「ん?俺も自分でするよ、阿部をネタにして。」

「…………。」


「あ、そっか。阿部って妄想しないタイプなんだっけ?別に俺をネタにしなくてもいいんだからね?抜けるモノで抜いて。」

「……お前っていう恋人がいるのに、他のモノで抜きたくねぇよ。」


「……じゃ、別れる?」

「はぁ!?やだよ!………つか何でそんな話になんだよ…。」


「だって…これくらい我慢出来なきゃ、俺たちきっとこの先やっていけないよ?」

「……………。」


「…何なら、オカズに俺のエロい写真とか撮っとく?」

「…………………動画がいい。」


「どっ、動画!?…………まぁ、いいけど…。」

「……じゃ、後で撮影会な。」


「撮影会って……響きがやだ。」

「お前で携帯のメモリ全部埋めるから。」


「う、わぁ〜…嬉しいなぁ………。」



一体どんな動画撮られるんだろ……あんまいい予感はしないけど、愛する恋人の為なら俺は何枚でも脱ぐよ!

それにしても、話してる間阿部はずっと俺を抱きしめたままだった。そのうえ俺の一方的な提案を、渋々ながらも受け入れてくれたし……俺も阿部に相当愛されちゃってるな、なんて都合良く解釈してみる。



「三ヶ月経ったらいっぱいしようね?」

「…………おう。」



俺からも阿部の首に手を回せば、阿部が俺の尻を撫で回してきた。
…まぁ、このくらいのスキンシップは許してやろう。



「水谷ぃ……。」



俺を抱きしめる力を強め、阿部が切なそうに俺の名前を呼んだ。特に用がある訳ではなく、ただ呼びたくなっただけなんだろう。その後に言葉が続かなかったから。

その姿があまりにも切な気で、まるで仔犬が鳴いてるかのようで、何だかすごい可哀想で…。阿部に本当の事を言わなきゃいけないって思えてきた。











そう…、俺は阿部に嘘をついていた。



「…………ごめんね、阿部。」

「……いいよ、元々俺が悪いんだし。」


「ううん、違くて……俺、阿部に嘘…ついてた。」

「……嘘?」


「阿部への罰なんて言ったけど、本当は俺の罰に阿部を付き合わせてるだけなんだ…。」

「……お前の罰って…。」


「彼女への、償い。」

「でもそれはっ……!」


「まぁ、こんな事で償えるって訳じゃないけどね…何もせずにはいられなくて……。分かってるよ?結局自己満足でしかないって事くらい。」

「……でもお前、あの日殴られてたじゃん。頬腫れてたし…。」


「…そんなんじゃ、足りないよ。」



電話で別れを告げた次の日、控えめで大人しかった彼女に殴られた。もちろんパーでだけど。何を聞かれても『他に好きな人が出来た』としか言わない俺に腹が立ったんだろう。急だし、タイミングも悪いし…当然だ。
あんな華奢な身体のどこにそんな力が隠れていたのか不思議なくらい痛かった。でも彼女はそれ以上に痛かっただろうな……右手も心も。その痛みは平手打ちや三ヶ月の禁欲程度じゃ決して拭い去る事は出来ない。それだけ俺は彼女を深く傷つけたんだ。



「水谷……ごめ「ストーップ!!」

「!?」


「今、阿部自分の所為だって思ったでしょ?全部俺の所為だって。」

「………………。」



阿部の首に回していた手を、阿部の肩に置いて突っ張り無理矢理身体を引き離す。…と言っても阿部の腕は俺の腰に回されている。



「……だから、嘘ついたんだよ。騙すのも申し訳なくて結局言っちゃったけど…。阿部絶対自分の所為にしちゃうと思ったから。」

「だって……。」


「いーい?俺が彼女と別れたのは阿部の所為なんかじゃないんだからねっ!俺が、選んだ事なんだから!俺が自分で決めた事なんだからねっ!分かった!?」

「おっ、……おう。」



まくし立てながら強めに言うと、その勢いに負けて阿部が頷いた。



「その分、しあわせにしろよ!」

「おっ、おう!」



また阿部が慌てて頷く様を見て、思わず笑いが込み上げてきた。阿部は恥ずかしそうに顔を逸らす。あはは、顔が赤い。
阿部が、ゴホン、と咳払いをし気持ちを落ち着ける。



「一生、大事にするから。」


















とんだ不意討ちだ……。
びっくりしたのと嬉しいのと色んな事が頭の中でぐるぐるして、何も言えずにただ阿部を見つめるしか出来なかった。
微笑みながらゆっくり近づいてくる阿部の顔に、俺もゆっくり目を閉じた。



















「………あっぶね!」

「ぅおっ!!」



俺、今流されるとこだった!
あぶねー…。
言い出しっぺなのに早速誓いを破ってしまうところだった…。俺の決意は堅いんだからねっ!


俺は阿部の顔を横から思いきり突っぱねた。ごめんね、阿部。痛いよね?首、ぐぃんってなったもんね、ぐぃんって……。俺はフローリングに横たわる阿部に手を合わせた。



「…おま、…くびっ……。」

「ご、ごめんね……?」


「………………いや、俺こそ…。」







俺たちの未来は意外に明るそうだ。



END.


終わり方中途半端過ぎる←
あとは皆様のご想像にお任せします;

文貴は、これから三ヶ月間阿部との初えっちの為に自分で後ろを慣らします(笑)

前作が暗めだったので、今回は明るめを意識して書きました(^O^)/クオリティの低さはいつもの事ということで☆



09.07.06

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