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☆abmz
愛のことば(阿水)

「でさ〜、…阿部?」
「…ん?」

並んで歩いている時、前を向いていた阿部の視線がふと動いた。
今ドコ見てた?
視線の先には大人っぽくて綺麗なお姉さん。
すれ違い様に見たよね??
「…どうかした?」
と聞いてみれば、
「いや?…何で?」
と逆に聞かれるし。
「…んーん、何でもないならいい…。」
としか答えようがなかった。
阿部は頭に疑問符をたくさん散らせながら、不思議そうに俺を見ていた。

やっぱこういう場面見ちゃうと、
阿部もかわいい子好きなんだろうな〜とか、
女の子の方がいいんだろうな〜とか不安になっちゃうよね。

でも言えない。
こんな女々しい事訊いて、ウザがられるのも嫌だし…。
気付かなきゃよかったのになぁ。
そういう所だけ目に入っちゃうのは、俺の運の無さのせいだろうか…?


「どうした?急に黙りこくって…。」
阿部が心配そうに顔を覗き込んでくる。
一瞬近くなった阿部の顔にドキッとした。
阿部の顔を見てたら、やっぱちょっと不安になって聞いてみる。
「阿部ってさぁ…綺麗な女の人、好き?」
「は?何だよ突然…。
……まぁ…嫌いでは、ないだろ。」
そうだよね。
まぁ、解りきってた事だけど。
こういう質問には素直に答えるのが阿部らしい。
……何で訊いちゃったんだろ…、
なんて今更後悔してみる。


明らかに表情が暗くなる俺。
こんな顔したら阿部に心配かけちゃうことぐらい解ってるけど…。
どうしてもいつもみたいに笑って誤魔化すことが出来なかった。
すると阿部が俺の手を握って、
「何不安になってんだよ?」
と、困ったように笑いかける。
その可愛らしい表情に少し緊張がほぐれてしまった俺は、
「だって!さっき、すれ違った綺麗な人…
目で追ってたから……。」
言わないでおこうと誓ってた事をつい漏らしてしまった。
阿部の反応が気になって、チラリと横目で表情を窺う。

「え?マジ??…俺が??」
すっとぼける風でもなく、
本当に心当たりが無いように阿部が驚いている。
へ?無意識??
それはそれでヘコむんですけどぉ…。

はぁ、と軽くため息をつくと、
握っていた手を阿部が更に強く握る。
その行動に顔を上げて見ると、真剣な表情の阿部と目が合った。
一瞬見つめ合うと阿部が、
「俺には、お前以上に綺麗だと思える人も、
愛しいと思える人もいねぇよ。
お前が一番好きだよ、水谷。」
そう言って微笑みかける。

へ?
な、何??

俺はぽかんと口を開けていたけど、
阿部の言葉が段々と脳に染み渡っていくにつれて、
身体中の熱が顔に集まってくる感覚に襲われる。

「ばっ…何、言ってんだよ…!」
阿部の言葉が嬉しくて、
同時にすごく恥ずかしくて、
阿部の顔を直視できずに顔を逸らす。
俺の顔が真っ赤であろう事は阿部にバレバレらしく、
くくくっ、と喉を鳴らして笑っている。


「卑怯なんだよ、阿部は〜。
普段全然そういう事言わないクセに、
たまにスゴイ事さらっと言っちゃってさ…。
ドキドキしすぎて心臓がもたないよ!」
俺が拗ねた様にそう言うと、
いたずらっぽく笑って、
「それが狙いだから。
計算して言ってんだよ。」
なんて言う。
「なんだよ!じゃあ俺も『好き』とかあんま言わないようにしよ〜っと。」
「それはダメ。」
「…なんでさ?」
「…俺が不安になるから。」
「なにソレ!?俺だって不安になんだかんね!?」
「え?俺、こんなにお前の事愛してんのに?」
また…!
不意打ちはやめてよ!
マジで心臓止まるかと思った…。
ちくしょう…俺の反応見て笑いやがって!
「〜っ!!阿部のバカ!ジャイアン!!」
「はぁ!?ジャイアンはねぇだろ!?」
このやろ、と頭を小突かれた。
目が合うと、自然にお互い笑い出す。


やっぱ無理だ。
たまにしか『好き』って言わないなんて。
だってこんなに大好きなんだから。
好きって気持ちが溢れてきちゃって、
言葉にしなきゃ、俺どうにかなっちゃいそう。
だから毎日でも、
毎時間でも毎秒でも言わせてよ。


「阿部、大好き!」






END.

なんかキャラ違うかな〜;
阿部がキモくなる〜(T-T)

2008.09.28

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あきゅろす。
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