☆abmz
世界のすべて2
※『世界のすべて』の続きになります。
※社会人パラレルです。大丈夫な方のみどうぞ↓
「おー…すげぇ。」
少し高級めのイタリアンレストランを目の前にして、水谷が感嘆の声を上げた。
中に入ると個室に案内され、二人席に着いたところで水谷がキョロキョロしながら問いかけてきた。
「こんなトコよく取れたねぇ…。」
「あー、まぁな。」
だって俺すげぇ頑張ったもん!
お前に喜んで貰うために。
ここのレストランは全室個室になっていて、
これから俺が起こす行動を考えれば、かなり都合がいい。
だから個室にこだわった。
結構前から探してたのに、個室で空いてるイタリアンは中々なくて…。
ネットや雑誌で色んなとこ探して、電話して…、
少し予算オーバーなんて、そんなちいせぇ事は今日は言いたくない。
今日は特別な日だから。
ワインで乾杯をし、
前菜を食べていると、水谷がソワソワしながら、
「ねっ!それ開けてみてよ。」
指差した先には先程水谷から貰ったクリスマスプレゼント。
「おぉ、いいのか?」
「どーぞどーぞ、開けちゃって!」
なんか俺より楽しみにしてるみたいな水谷。
俺だって気になってたんだからな?
気に入って貰えるかどうか不安なのか、袋や包装紙を開ける俺の手元をじっと見ている。
薄めの箱を開けると、中には……。
「おー財布だ。…しかもコレ、この前買い物行った時俺が欲しいって言ってたやつじゃん…!」
密かにリサーチされてたのか…。
……あ、
本日二度目の嬉し涙が…。
「喜んでもらえてよかったー。」
「ありがとな、水谷。大切に使うよ。」
嬉しそうに笑う水谷の頭を撫でると、
照れて頬を赤らめた。
その姿に俺も自然に笑みがこぼれた。
コース料理を堪能して、水谷だけにデザートを用意してもらった。
水谷は美味しそうにデザートを頬張っている。
そろそろ……言うか…。
鼓動がうるさいくらい速まる。
窒息しそうなくらい胸が苦しくなった。
あんだけシュミレーションしたのに…緊張、してる。
小刻みに震える手をぎゅっと握った。
…………よしっ!
「……水谷。」
「ん?」
デザートを食べる手を止め、俺を見る水谷の目の前にポケットから取り出した小さな箱を置いた。
水谷はラッピングされた小さな箱を見て固まっている。
「…水谷、開けてみて。」
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