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鬼を告げる

「おいおい、こんな色気の無い場所、逢い引きにしちゃ趣味が悪いぜ・・・・・・?」


「・・・・・・またおまえたちか。田舎の狗は目端だけは利くと見える」


「・・・・・・それはこちらの台詞だ」


突きつけられた白銀。それは槍と刀の尖だった・・・だがそれらを向けられても千影に動じた様子はない。不自然なまでの無表情で突きつけて来る浅葱色の羽織を纏う二人を興味無さげに見下げて淡々とそう言っただけだった。



赤髪に蜜色の瞳の槍使い。
滅紫の髪に瑠璃の瞳の左差し。



どちらも羽織から新選組の一員というのはすぐに分かった。不知火と天霧がその二人を見て反応したことから禁門の変の後に二人から聞いていた『興味深い人間』だと言う原田左之助と斎藤一であると知る。


「原田さん!斎藤さん!」


そしてくずれ落ちてしまいそうになる千鶴の肩を引くもう一人の気配。


「・・・・・・下がっていろ」


土方歳三が押し退けるように前に出て刀に手をかけた。


「ふん・・・・・・将軍の首でも取りに来たかと思えばこんなガキ一人に一体何の用だ?」


「将軍も貴様らもどうでもいい。これは我ら【鬼】の問題だ・・・引っ込んでいろ人間」


「【鬼】、だと・・・?」


真偽を計っているのか千影を見つめる眼光の色はひどく鋭い。


「へっ・・・・・・こいつのツラ拝むのは禁門の変以来だな・・・・・・」


原田の言葉に不知火が腰の銃に手を伸ばす。


「再会という意味ではこちらも同じくだ・・・・・・だがなんの感慨も湧かんな」


そして斎藤の言葉に天霧は爪先に力を入れる。


「・・・!」


小太刀を探る千鶴に千影は笑う。


「見た処戦えるとは思えないがそれでもその拙い剣で俺に挑んでみるか?」


「下がってろと言ってる!」


土方が鋭く制する、と同時に現れた新たな気配と押し殺した声に千影はせせら笑いを浮かべて言う。


「影も飼っているのか?」


「うるせぇよ」


「・・・戦いに来たつもりではないのだがな」


そこでようやく千影は刀の柄に手をかける。



「・・・・・・私はこの場に残ります」



その千鶴の言葉が、場を変える合図。








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あきゅろす。
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