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気付いて、番長!
夢よりそれは

がっちりと手で裕の後頭部を抑え、その唇を俺のと重ねる。

現実のものは夢のより一層柔らかくて、熱くて。なにより実感があるのがいい。
やっぱ夢は夢だってことか。

ちゅっと音を立てて唇を放し、目を開ければ、何が起きたかわからないと言う顔の裕の顔がそこにあった。

固まって動かない裕から手を離し、ぺろりと唇を舐める。

「ごちそーさん」
「・・・・・・・・・」

にやり、と笑えば、ぼんっと顔が一気に赤くなった。タコみたい。

「な、ななななななな・・・!!」
「図書室で騒ぐなよー」

わざとらしく言えば、裕は震える手で口元を覆い、俺から距離を取りながらきょろきょろと周りを見渡した。
全然人なんかいないけど。

「な、何、なんで、なんで、きす、おれ、え?!」
「初めて?」

椅子から立ち上がり、大きく伸びをしながら裕は真っ赤にした顔のままふるふると震えがした。なんだこれ、小動物みたいで可愛いな。

「だよな」
「だ、だよなって、おまっ」
「俺もだし、安心していいぜ」

笑って告げれば、裕は今度こそ動きを止めた。ああ、多分頭ぐちゃぐちゃなんだろうな。当たり前だけれど。

フリーズしたままの裕に近付き、肩にかけられてずり落ちはじめた鞄を手に取って奪い、肩にかける。

「行こうぜ、腹減った」

ポケットの携帯を見れば昼にはちょうどいい時間帯。

外の喫茶店でもいくか。そう言ってみるが、裕は相変わらず固まったままで。
俺はそこまで固まんなくてもなぁ、なんて呑気に思いながら裕の耳元に顔を持って行き、囁いた。

「またキスするぞ?」

色気の含んだ声で言えば、ものすごい勢いで裕は動き出した。
と言っても大きく早く後ずさっただけだけど。

「かず、なんで、お前なんで、きききききすなんか・・・!!」
「理由だぁ?そんなん、俺ずっと言ってんだろ」

眉間に皺を寄せて答えればますます混乱した様で、目を泳がせて思い出そうとし始めた。

「いつも、は?え、」
「はいはい、飯行くぞ飯」

きっといつまで経ったって頭が混乱しっぱなしの裕には答えが出せない。

俺は大股で近寄って裕の右手を取り、歩き出した。

「ちょ、和!手!!」
「たまには良いだろーよ。俺の事【弟】呼ばわりした罰だ罰」

そういってぎゅっと俺より小さくて熱い手を握る左手に力を込める。
どうせ人も少なっているんだから大丈夫だろ。そう付け加えれば、後から「いや、でも」「あー、いや、だけど」とか悶々とした声が聞こえてきた。

考えがまとまらないのか、俺の意見にも一理あるとか思っているのか。
どちらにせよ、そんな裕を半ば強引に、引っ張るように図書室を出た。






(ずっと好きって言って、そして、)



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