進撃の巨人
1
「香織、なぜ泣いている?」
…!
手で目を擦ると、無意識のうちに涙がこぼれ落ちていた。
どうしようもない現状に私の想いが溢れ出す。
ポロッ…ポロ…
「別れを言いだした奴がなぜ、泣いている…」
『べ、別にっ…ちょっと…こう、感傷的になっただけで…』
「感傷的?俺に同情でもしてるのか?』
兵長の顔つきが変わった。
『同情って…その同情する中身なんてないじゃないですか…』
「なんだと?」
『兵長は別に…私と別れてもセックスする相手がいなくなるだけで、別に悲しむほどの事じゃないじゃないですか。』
私がそう言い放った瞬間、兵長の眉間に皺が寄りバタンッ!と勢いよく開いていた扉を閉めた。
ジッと私を睨んで近づいてくる。
「そんな風に思っていたのか…」
トーンの低い声で、私の目の前に立って言った。
そんな風にって…それ以外何があるの?図星なんでしょ?だから怒ってるの?
「セックスしたいだけで付き合ってたと思ってるなら、関係は続けたまま、セックスしなかったらどうだ?」
え…!?
『ちょ、ちょっと待って!兵長はそれで…いいんですか?』
「フンッ…そんな風に思われてたことに無性に腹が立つ。」
え、えー!?腹が立つって…それで、関係はそのまま!?
で!?エッチ…しないの!?
いやいやいやいや!
今までからして…
それは不可能というか…想像できないんですけど。
「いいな!セックスはしない。お前に指一本も触れないでいてやる。俺にも名誉がある。
『…え…あ…はぁ…』
それは、果たして
付き合ってるといえるのだろうか。
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