進撃の巨人
2
私たちは初めから体を重ねていた。
言葉を交わすことなく、お互いが体を求めて
いつの間にか所謂“彼氏彼女”になっていたのだ。
なので
非常に兵長に言ったことに疑問が生じてならないのだ。
ただ…私が兵長に対して思っていたことに関して凄く怒っていた。
それは事実だった。
それからというもの
体を重ねない事が恋人同士の条件になった私たちは、ここ数日会う事も無くなった。
私達の関係が、体を重ねないと成り立たない事を証明されたようで落ち込んだ。
。
本当に触れて来ないんだ…
私、そんなにプライドを傷つけてしまったのかな…
こんなこと、続けてる意味あるの?
こんなの恋人同士って言える?
そりゃ…私から言いだしたような物だけど。
兵長は、ただプライドを貫く為にこんなこと…。
私は、ここ数日、調査兵団の任務以外に会っていない時間のせいで、兵長が恋しくなってしまったようだ。
憂鬱になっている私の目に、宿舎のロビーの片隅で、同期のエレンやアルミンがワイワイと騒いでいるのが姿が入った。
私に気づいたブロンド髪の可愛らしいクリスタが近寄って来た。
「香織!香織も一緒に書こうよ!」
『え?何を?』
「短冊だよ!短冊!」
『タンザク〜?』
皆の所へ、クリスタに手を引っ張って連れて行かれると色とりどりの紙に、皆、文字を書いて盛り上がっている。
「アルミン!まだ悩んでんのかよー!」
エレンが、真剣に悩んでいるアルミンの頭をコツいた。
「痛!なんだよ〜エレンだって、そんな何枚も書いてちゃ、願いなんて叶わないよ〜!」
「え?そうなのか?」
「駄目に決まってるよ!欲張りだな〜それに、これ!意味わかんないよ!」
アルミンが何やら長い草の様なものに、引っかけてあった単語だけ書かれた紙を指差した。
横で見ていたミカサがボソッとそれを読み上げる。
「駆逐…」
「あーはっはっはっ!エレンのやつ、また馬鹿なこと書いてやがる!はっはっはっ!」
大声で笑うジャン。
みんな、楽しそうだな。
「香織は願いごと、無いの?」
『願い事?』
「うん!明日、7月7日でしょ?七夕って言うらしの。」
『たなばた?』
「そう。おとぎ話でね、一年に一回夜空に広がる天の川で恋に落ちた男の人と女の人が再会出来る、唯一の日なんだって。その日にね、願い事をこの短冊に書いて、この笹に飾ると願いが叶うって言う言い伝えがあるんだよ。」
一年に一回会える唯一の日だって…?
作り話にも程があるよ…。
私はここ何日か会えないだけで恋しくなっているのに。
無理に決まってる。
ばかばかしい。
『クリスタは何て書いたの?』
私は、呆れながらもみんなの書いた短冊を笹ってやつに飾るクリスタに聞いた。
「私?…私は、みんなが…生きてずっと幸せになれますようにって…」
…!
クリスタは、このお遊びのようなイベント事にでも、そうやって願いを込めてみんなの事を想っている。
きっと、信じるか信じないかではなく想うことが大切なんだろうな…。
私の想う事ってはもう、一つしかないよ。
ずっとずっとあることだ。
『クリスタ…ペン貸して。』
そう言って私は短冊ってやつに、願いを込め書いた。
だけど、みんなに見られるのが恥ずかしいからコソっと陰で、短冊を何回も折り曲げ笹に縛り付けた。
次の日、訓練が終わり私は宿舎に戻る際中
見上げた空に、クリスタが教えてくれた天の川っていう星の列を探した。
しかし…今日は一日あいにくの曇り空で、期待した空はくすみ星ひとつ見えずにいた。
言い伝えの男の人と女の人は、今日会えたのかな。
会えたとしたら、どんな話をするんだろう…
寂しかった?会いたかった?
そんな会話を毎年繰り返すのかな…
不満とか…無いものなのかな?
兵長は…
無かったのかな?
私は不満が爆発して別れを切り出した。
今やもう、肩書でしかない恋人同士で、会う事も無くなったけど、兵長自信…私に言いたいこととかなかったのかな。
私はもう一度空を見上げ、真っ暗な空にため息を着いた。
「星…見えねぇな。」
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