テニスの王子様
1

目の前で好きな女が泣いている……。



俺はどうすれば良いのだろう。





『涙の理由』





「宍戸のバカ!!」

昼休み。
屋上に呼び出されたかと思ったら、突然ビンタを食らわされた。
それも、好きな女に。
俺は、訳が分からずに叩かれた頬を押さえるだけだった。

「何で叩かれたか分かってないの?」

目の前で突然泣き出す彼女に、俺は目を見張るだけだった。

「ヒック……宍戸の、バカぁ……」
「だから、何がバカなんだよ!」

やっと口を開いて出た言葉が、それだけだった。

「だってぇ……」

ポロポロと大粒の涙が頬を伝う。
俺は、頬に宛てた手を下ろすと彼女へと歩み寄った。

「美穂、ちゃんと理由を言ってくれよ」
「……ヒッ……宍戸っ…後輩と……キスしてた……」

俺は目を見開いた。

「……あの…子が……好きなんだね……」
「違う!俺が好きなのは美穂だけだ!!」

俺は声を荒げると、彼女をきつく抱き締めた。
俺の胸に、すっぽりと収まってしまう彼女の肩は震えていた。

「……嘘……言わないで…よ……」
「嘘じゃねぇよ」
「本当?」

俺は抱き締める腕の力を弱めた。

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