るろうに剣心
1
「あら…、またいらしたの」
「…あぁ」
此所はとある遊郭。
そこにある男が、綾香を買い、綾香はその男に「貴方も物好きですねぇ」と呆れたように軽く笑いながら言った。
そんな男の名前を緋村剣心という。
剣心は、綾香の言葉に対して何も言わず、綾香のすぐ隣りに腰をおろす。
綾香はそんな剣心をジッと見るだけで、黙っている。
「綾香…」
「…なんですか?」
「愛している」
「………」
剣心は綾香の目をジッと真剣な眼差しで言った。
だが、綾香はそれに対し、何も言わない。
否、言えない。
遊郭の女は、人として扱われず、道具として扱われる。
そんな道具が、人を愛してしまうとはいけない事なのだ。
だから、剣心の言葉に対し、自分が剣心と同じであっても、「愛している」なんて口にしてはならない。
「……その近い内に、お主自身を買うでござるから…」
「………」
「拙者がお主自身を買えば、これでやっと2人っきりになれるでござるよ…」
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