薄桜鬼
2
「じゃあ、誠寝かせてきますね?」
私の腕の中で泣きながら目をこする誠をあやしながら、寝室へ向かう。布団に入り、背中を一定のリズムで叩いてやるとすぐに可愛らしい寝息が聞こえてくる。
それから誠を起こさないように気を配りながら布団から抜け出し、左之助さんが待つ広間へと向かった。
広間のドアを開けると左之助さんは窓を開け、そこに座りながら月を眺めていた。その姿があまりに似合っていてー…。つい見とれてしまう。
「ん?どうした、早くこっち来いよ」
私に気づいていたらしい左之助さんが手招きしている。素直に左之助さんの所へ行くと腕を掴まれ私は左之助さんの足の間に座ってしまった。
「久しぶりだな…二人でゆっくりするの」
「そうですね…」
空を見ると満月が浮かび、風に乗って桜の花びらがフワリと舞う。それがとても幻想的でー…。
「綺麗、ですね…」
自然と涙が頬を伝う。それに気付いた左之助さんは小さく笑いながら「泣き虫」と言ってきた。
それから目尻に、額に、そして唇にー…。優しいキスが落とされていく。
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