小説
意外と。
「うわ…でけー…」
そんなこんなで俺は核=coreのある地区へとやって来た訳だ。
俺が元居た場所から汽車で3時間位だからそう遠い訳でもない。
そして俺は今核=coreの本部の前に突っ立ってるんだが…
その本部がデカ過ぎて首が痛いんだよね!
俺の身長がチビなのが悪いのか!?
…建物に喧嘩売られてるよ俺(遠い目)
「入口って此処だよな…」
(建物がデカ過ぎて入り口が分からないなんて言えない…)
と一人で思案しながらキョロキョロと探し回っていると入り口らしき門を見つけた。
建物があんなだからそれに従って門もデカいんだよな。
縦3M位ある長さに横が4Mある門とか初めて見たよ俺。
こんなのに金使うなよな…
「君誰?」
不意に背後から声がしたと思えばぞわり、と冷や汗と共に背筋を走る鋭い感覚が背後からする。
話し掛けられたと思う暇もなく向けられる殺気…こいつただもんじゃねぇな…。
俺も仕事柄殺気を向けられる事には慣れているがこの殺気はあまり体験した事がないタイプだ。
純粋に向けてくるっつーか何つーか…。
だから俺も仕返しついでに大方此処の人だろうから挨拶ついでに殺気を向けてやる。
「っ…」
大体俺が怯むだろうと思っていたあいつは俺が殺気を向けた事で息を詰めた。
「何、俺の事?」
俺は柄にもなくへらりと笑って振り返った。
んで振り返った先には…ち、超美形なんですけどおおおお!?
身長は大方190って所かな、甘いマスクに垂れ目に茶髪ってなんだよこの野郎!
つーかやばいよ俺こんな美形に喧嘩売っちゃったの!?
脳内で危険信号が発してるんだけど此処で逃げたら何となくムカつくから此処にいる事にする。うん。
「…君お客さん、って雰囲気じゃないよねぇ…」
明らかに殺気を向けながら訝しげに眉を寄せ俺を見詰める目の前の美形さん。
本当美形って得だよな…。
「んあ俺? えっと…あ、こういう事だから今日から此処で働かせて貰うから」
俺はポケットから取り出した人事異動書をその目の前の美形さんに見せる。
「…あぁ、君が今日から来る人?なーんだ、言ってくれれば良かったのに」
言ってくれればって言われましてもね…。
そんな立ってるだけなのに殺気向けられたこっちの身にもなって下さいよ!(涙目)
「これから宜しくね、ルカ=アルカフィクス君?」
「っ…何で俺の名前知って…「だって書いてるしね」
ごもっともです垂れ目さ「俺の名前マカって言うから好きに呼んで。ついでに垂れ目って名前じゃないから次垂れ目って言ったら殺すよ?」
はひいいい!!!!!!
な、何この人!読心術でも持ってんの!?
すんなりと俺の考えている思考を当てられ俺はとにかく冷や汗だらだらな状態だった。
まるで蛇に睨まれた蛙のように。
キリトいわく「お前の考えてる事なんて誰にでも分かる」らしい。
結構俺ポーカーフェイスだと自分で思ってたのにな!
それをこの前キリトに言ったら「お前がポーカーフェイス? …はっ。」と鼻で笑われたあげく可哀想な目でこっちを見られたから取り敢えずキリトの股間に蹴り食らわせてやった。
「あれ?ルカのその左手の薬指…刺青かな」
俺が回想に浸っている間にふと近付いてきたマカに左手を取られ薬指の根元に巻きつくようにして彫られた薔薇の模様の刺青がマカの視界に入ればマカは訝しげに眉を寄せ俺の左手を凝視する。
…俺にとってこの刺青は嫌な過去を思い出す材料でしかない。
今まで何度も消そうとして病院を巡ったり大量の金積み上げて有名な医師の所に行っても全く消えなかった。
そして俺の治療を受け持った医師は口を揃えてこう言うんだ。
『その刺青を消したいなら指を切断するしか方法はない』と。
流石に俺も指を切断する勇気なんて持ってる訳無いし第一キリトがそれを許してくれなかった。
刺青消す金も全部全部キリトが用意してくれた。
俺にとっての“家族”はキリトしか居ないから。
…そう、キリトだけ…。
「…ルカ?」
「っ…あ、ごめん…ぼーっとしてた」
俺の異変に気が付いたのか俺の顔を覗き込むように見上げてくるマカはその様子を見て何かを察したのか「まあ何処に刺青彫ろうが自由だしねぇ」と刺青の事にはこれ以上触れないで居てくれた。
俺が思っていたよりもマカは人の心情を察するのが得意らしい。
「さ、中入ろうか? 挨拶とかしなきゃねぇ」
と、マカは俺の手を引いて核=coreの本部へと入って行く。
俺まだ心の準備とかしてないんですけど!?
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