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世界の果てを見た君*ルルーシュ



彼は絶対的な力を手に入れた。


"ギアス"。

それは彼が名付けた絶対遵守の力。彼のギアスを掛けられた人間は彼の命令に背くことは無く、与えられた絶対的な命令を行使する。それで彼は何をしようというのか。それは至極当然で単純明解なことで、彼は復讐したいのだ、あの神聖ブリタニア帝国に。"ゼロ"という仮面を被り、黒の騎士団を作り、ナイトメアを操る。無敵の指揮官、リーダーに彼はなった。

ゼロ。それは無を表す言葉。数字のゼロから取ったのかもしれない。だけれども今その名は数字のゼロだけの意味を持たない。ブリタニアを脅かす危険な反抗組織のリーダーの名だ。その名を聞けば、ブリタニアの軍人は恐怖に顔を歪ませ、日本人は歓喜に顔を綻ばせる。ゼロは支配者であり、救世主であり、異端者。何て、至極当然なことだろう。

















星の降るような綺麗な夜空だった。空は漆黒だと言うのに、明るい。星のせいだろうか。はたまた月のせいだろうか。どちらにせよ、明るいのにかわりはない。廃墟になったビルの柱に背を持たれさせ、その漆黒でありながら明るい空を見上げた。星が綺麗だなぁ、だとか、明日晴れるかなぁ、だとか、明日の朝ごはん何にしようかなぁ、だとかそんな安楽的なことは考えられなかった。思い浮かぶのは彼…いや、ゼロの言葉。明日なんだそうだ、私の初任務は。普通の人にしたらそれは簡単な任務だけど、何せ私は初任務だ。緊張というものが半端ない。だから、柄にも無く緊張して寝れないでいる。こんな気持ちだったかなぁ、遠足前の小学生の気持ちって。遠の昔のことなんて、忘れちゃった。………いや、遠足に行ったことなんてあったっけ。エリア11となってから私は学校に行ったことなかったから、遠足…そうか行ったこと無かったんだ。小説で読んだときの気持ちのように例えただけなんだ。ああ、何て無意味なことだろう。




「なまえ」

『ああ、ゼロさまじゃないですか。』

「……わざと俺の名を嫌味っぽく言うのはやめてくれないか?」

『あらぁ、気づいた?』




くすくすと笑う私にゼロは黒い手袋をつけた右手を私に伸ばして額にでこぴんを喰らわせた。痛い、と額をさすりながら反論を口にすると加減はしたつもりだ、と機械的な声が聞こえた。そっか、中に声を変える機械を付けてるんだっけ。




『ねぇ、ルルーし……いやゼロ』

「お前、名前を間違えるな。ここではゼロだ。」

『明日、だよね。私がナイトメアに乗るのは。』

「そうだが?………ああ、びびっているのか?」




にやりと笑ったように言うゼロ兼ルルーシュに少し苛立ちを感じたけれど、それは口に出さないでおいた。きっと口喧嘩なんて負けるに決まってる。だから喧嘩するだけ無駄だ。




『ゼロ、本当にブリタニアを壊す?潰す?』

「今更何を言う。当たり前だろう。俺はブリタニアをぶっ潰す」

『待ちに待った……機会だもんね。』

「ああ。」

『じゃあその野望の為に…私は精一杯働かせて貰いますよ、我が君』

「───、悪いな」

『いえいえ。』








夜空の下で交わした君との会話を私はずっと覚えています。

ねぇ、ルルーシュ。君はこうなることを知っていたんですか?





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文中が無印でタイトル後がR2でルルーシュが死んだ後、みたいな設定。





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