亡きに等しい(ゼロリナ) 真っ赤な水溜まりにたゆたう彼女。 彼女の体はそんなに大きくない。その体から流れ出たとは思えないほどの量の血液が、じわじわと地面に拡がり、染み込んでいく。 生命が零れおちる。 彼女はどうすることもできない。なぜなら、 彼女の四肢を潰したのは、他ならぬこの僕だ。 「リナさん、そのままでは死んでしまいますよ」 にっこり僕は彼女を見下ろす。 さあ、選べ。 「生きたいのでしょう。まだ混沌に還りたくはないのでしょう」 明らかな執着だった。どうしようもなく僕は彼女を欲しいと思ったのだ。 「いやよ。あんたと契約して存在し続けるなんて、そんなの」 「生きてるって言わないわ」 最期の一呼吸まで彼女は彼女だった。 悪い冗談だ。 死ぬ瞬間まで生への輝きに溢れているなんて。 人間なんて簡単に手に入ると思ったのに。 結局僕はその瞳の煌めきすら奪うことはできなかった。 ********** 短っ! ゼロリナというよりゼロ→リナでした。 [*前へ] |