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メランコリー(髑→綱→骸)
※数年後捏造


彼女のさくらんぼのような唇から、小さなため息がこぼれた。

「どうしたの、髑髏」

後ろのダイニングから沢田綱吉が戻ってきた。
両手に持ったワイングラスの片方を、髑髏の前に置く。

「私がつぐわ」

自分でワインをつごうとしていた綱吉を制して、その手からボトルをひったくった。

「浮かない顔してるよ」

髑髏はひたすらにたゆたゆと紅で満たされてゆくグラスだけを見つめる。

「ため息なんかついて、どうしたの」

眉ひとつ動かさない彼女が、聞いているのか、いないのかは分からない。
否。そう見えて、ちゃんと聞こえている。

「ボスのせい」

唐突に髑髏が言った。

「俺のせい?」

綱吉が苦笑する。
だけど、困ったフリしたって、本当は面白がっているんでしょう。

「どうしてかな?」

ほら。

「だってボスは、私を見てくれないんだもの」

やっと髑髏は綱吉を見た。
綱吉は、片方だけの瞳と目が合う。

「心外だな」

嘘つき。
心の中だけでつぶやく。
たとえ言ったって、言わなくったって、どうせボスは同じことを言う。

「愛してるよ」

ほら。
綱吉の行動を先読みできるくらいには、彼女は彼と長くともに過ごしてきた。
いつだってその言葉ではぐらかすの。
でも知ってる。その言葉は本物よ。ただ私に向かって言っているんじゃないだけで。
ゆるゆると髑髏は首を横に振った。

「私じゃない」

綱吉は何も言わない。

「ボスが見てるのは―――――」

そこで間をおいて、そっと綱吉を伺い見ると、彼は穏やかに微笑んでいるだけだった。
髑髏は知っている。彼が見ているのは、彼女の向こう側。
オッドアイの、囚われのひと。
私はただのパイプ。

「やっぱり、いい」

言ったらきっと、うなずかれてしまうから。
気づいてしまっていても、曖昧なままなら錯覚したままでいられる。

「なんでもない。忘れて」

「そう?」

綱吉も無理に追及しない。
でも、髑髏が気づいていることぐらい、気づいているだろう。
それでも何も言わないなら、髑髏から言うことは無かった。

「私も、愛してるわ」

「嬉しいな」

はにかむ笑顔さえ私のためじゃなくても、いい。
どんな役割でも、側にいさせてもらえるだけで、充分。
もしかしたら、すこしぐらい、なんて、考えるだけ無駄だから。

代わりに彼女はため息をつく。







**********
薄暗い話です・・・・・・。
しかも意味が分からない(爆)
髑髏ちゃんは本当にボスを愛してるけど激しく片思いみたいな。
それで満足しちゃってるみたいな。


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