Alice in Distortion World
アリスが好きな女王が好きなトカゲ(ビル女王)
「アリス、待って、わたくしのアリスっ」
「ごめんなさい、女王様っ!また来るからっ」
鎌を携えた女王を置いて、アリスは猫を抱えて帰ってしまった。
ぽつん、取り残された女王の側に、するすると近づく影。
「アリスはどうして首をくれないのかしら・・・・・・」
「首だけになることが、アリスにとって幸せではないからです、陛下」
女王はいつの間にか脇に控えていたトカゲに驚きもせず(だってトカゲはそういうものでしょう?)、冷たい鎌の柄をぐっと握りしめる。
「そんなこと・・・首だけのほうが幸せよ、ずっと一緒にいられるんですもの。わたくしがアリスを誰にも傷つけさせないから、辛いこともないのよ」
そう、だから女王はアリスとの楽しいお茶会の最中に、ずっとこのままでいられたら素敵と思って、アリスの首をはねようとしたのだ。
首だけでもお茶はできる。
「それなのにアリスったら・・・」
「ああ、それは陛下の独りよがりでしょう。アリスは首だけになるのを望んでいない。それが真実です」
すぱんっ
女王はいちいち否定的なトカゲが気に食わなかった。真実の番人だからって、何よ。アリスに一番遠いもののくせに。わたくしのことなんか分からないくせに。
怒りはそのまま行動となった。
「おや陛下、危ないです」
それすら予想していたのか、鎌はトカゲにかすりもしない。
「黙って首をはねられなさい、ビルっ!」
すぱんっ
すぱんっがしゃんっ
何度鎌を振り上げようが、トカゲの首は一向に胴体とくっついたまま。
とばっちりで壊された家具(花瓶やら)が虚しく床に散らばる。
「アリスは気づいていないだけよっ!きっと猫に騙されているんだわ!首だけになるのは怖くなんかないのよ!首だけのほうが良いに決まっているの、絶対よ・・・・・・」
仕舞いに女王はふにゃっと眉を下げて、しゃくりあげて泣き出してしまった。少しばかり、トカゲは女王をいじめすぎた。
「っく、アリス、アリス、わたくしたちのアリス・・・」
「陛下、泣かないでください」
「触らないで」
女王は無視してなぐさめつつ、トカゲはやんわり鎌を取り上げる。
「陛下、アリスはいませんがもう一度お茶にしましょう」
「アリス以外いらないわ」
「そう言わず。甘いお菓子もたくさん焼きました」
少しだけ女王は顔を上げる。
それを見て、トカゲはもう一押し。
「散らかった床はトランプ兵に片付けさせましょう。ですから」
ね?とは言わないまでも、女王の背中に手を添える。
「その前に、鎌を返しなさい」
「陛下がお茶をしてくださるなら」
濡れた瞳で不服そうにトカゲを睨んで、女王は割りとおとなしく、お茶の席についた。
トカゲにうまく丸め込まれた気がしないでもない。
けれどふんわり甘い香りを漂わせた焼き菓子を前に、仕方が無く今日はアリスの首を諦めようと思った。
「おいしいですか、陛下?」
「いいえ。おいしくなんかないわ。アリスがいなきゃ、ダメよ」
悔しいから、本当はおいしいなんて、絶対に言わないんだから。そう女王は心に決めた。
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なんじゃこりゃあぁ!!?
ビル女王だと言い張ってみる(ぉい
ビルはきっと女王様の扱いが上手いんだろうなあ・・・と思いながら書き始めて、でも下手で女王様と毎日喧嘩してても萌えるなあ・・・と考えながら進めた結果です(爆)
トカゲは女王様を泣かせるぐらいが丁度いいかと(ぇ
女王様はビルにはツンでアリスにはデレで、たまにビルにもデレてあげてたらいいなと思いますw
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