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やきもちですが、何か? (ナルト)
劇場版 疾風伝ED後。
[最強ツンデレ〜]番外
「なによ、ナルトのくせに」
声に出したつもりなんかなかったけれど、そのバカにはしっかり聞こえていたらしい。
「あ?なんだってばよ!
どーゆー意味だコラ!」
私はナルトの耳がどうなってるのか知りたいわよ。
こういうことだけは聞いてるのね。本当、便利な耳。
ひとの話、全然聞かないで。
余計なことに首突っ込んで。
突っ走って。
みんな巻き込んで。
それで‥
全部自分で背負い込む。
みんなを守って。
ナルトが傷つく。
「‥ナルトのくせに!」
「ちょ‥ちょっと待てって!おいっ!なんで泣くんだってばよ!?ぉおお俺‥なんかした!?」
「ナルトなんか‥ナルトなんかっ‥!」
「ユメー‥もー‥なんだってばよ‥?
ほら、泣くな‥‥ってか嘘泣きィィ!?ちくしょー!」
万年ドベだし。未だ下忍だし。バカだし。単純。カッコつけてもキマらなくて。情けなくて。へたれだし。それからそれから。
ダメなとこあげたらキリがないのがナルトでしょう?
修行して帰ってきたって、全然変わってなくて。
私は安心してたの。
「ふんっ‥ナルトの女タラシ」
「ハァ!?
なんでそーなんの!?」
でもナルトは、ダメなところの数と同じくらい、良いところがあって。本当はとんでもなくカッコイイんだってこと。
私だけが知っているはずだった。
なのに、いつの間にか。
みんながナルトナルトって。
ナルトは一人しかいないのに。
ねぇ、私のナルトはどこ?
影分身でもいいよ。
私だけのナルトでいて。
ずっとそばにいて。
「今回だって‥どれだけ‥心配したと‥」
「あぁ!?
聞こえねーってばよ!さっきからブツブツ言いやがって!聞ーこーえませーん!」
「ナルトなんか、鬼の国に一生いればいいっ!」
「なんでだよ!」
「『オマエはオレが守る!』?
約束したんでしょ、ずっといれば?巫女様も喜ぶわよ、よかったじゃない」
「‥‥‥ユメ、もしかしてオマエってば、妬い‥」
「あ、そうだ、ネジにご飯誘われてたのよねー。断っちゃったけどやっぱりせっかくだし里帰ったらネジとご飯行っ‥」
「嘘!嘘だってばよ!
頼むから行かないで!」
わかってるよ。
わがまま言えないって。
一歩一歩、ナルトの夢が近づいてるんだもん。
ナルトをみんなが認めはじめている。
人気者なだけじゃない。
ナルトはみんなの希望になりつつある。
いつか、こうなるって
私はわかってた。
だって、ナルトがカッコイイって気付いたのが、私がみんなよりほんの少し早かったってだけなんだから。
『なんでナルトなんだ?』
『格差婚ならぬ格差カップルよねー』
『釣り合わないよな。ユメさんとバカナルトだぜ?』
そう言われてたことが嘘みたいに。逆転して。私なんかじゃナルトにはふさわしくないって言われるようになるのも時間の問題。
「帰ったら一楽のラーメン食べに行こうぜ!」
「‥でたよ、一楽」
「おごるしよ!
てか、任務のあとは一楽って決まってるからな!」
「べつにいいけど、
じゃあ、明日の休みは、一緒に
いてよね」
「にしし、おうっ」
『私だけを守って』
口をついて出そうになる度に、
何度も何度も飲み込んできた言葉。
間違ってるから、言えない言葉。
木の葉の里を守るのが、ナルトの願いだ。
里は、みんなのことだし、私であって、ナルト自身。
妬くのはただのわがまま。
嘘よ。
影分身でもいいだなんて、嘘。
ナルトじゃなくちゃ嫌。
どんなナルトでもいいけど、
ナルトがナルトじゃなくちゃ嫌。
ずっと、見てる。
ナルトがどんどん遠くへいってしまっても。
「オレ、強くなるから。
ユメを守れるように。
心配させないくらい、強く!」
「ハイハイ、頑張ってねー」
「ムキー!いいか!オレってば、すぐにめちゃくちゃ強くなるんだからな!」
ナルトが、どんなに強くなったって、私が心配しない訳ないじゃない。
「ナルトのばーか」
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