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コン・アモーレ (スパナ)


(‥ん!?あれって‥!!)


「スパナ!?」

「ん‥?
‥Hi、ボンジョルノ!久しぶり由芽。今日もカワイイネ」

「ボンジョルノ、スパナ」

「由芽、ウチと喋るときは日本語でって約束」

「ああ、はいはい。
今日も素敵な日本語ね、スパナ‥‥っていうか!
ちょっと!出席大丈夫なの!?
しばらく見てないんだけど!授業出てる!?」

「‥‥ご‥ゴブサータしてます‥?」

「『ご無沙汰』ね」

「ごぶ‥さた‥‥『ご無沙汰』」

正しい発音に頷いてみせる。


「ほんと、スパナの日本への愛には感嘆するわ」

「カンタンスル‥‥ああ、『すごい』ってこと?」

「う‥きっとあたしのイタリア語スキルを軽く上回ってる気がする‥」


留学のために語学学校に必死で通ってきたあたしより、独学のスパナの方が上達している。
これが天才と凡人の差か。
しかもスパナはあたしより2つ年下。本来ならもっと飛び級出来たはずだけど、いつも出席が足りないとかテスト受け忘れたとか手続きしそびれていたらしい。


「またこもってロボット作ってたの?」

「そう。なかなかスゴイのができる‥できた?」

「‥‥‥どっちかな」

「えーと、できたけど、まだ調整する。これから、またすごくなるヨテイ」

「今度のはどういうやつ?」

「機能?
空を飛ぶモスカ。自由自在に。ツナヨシみたいに」

「ツナヨシ‥スパナを駆り立てるスーパーな日本人、ね」

「ウチ、由芽の次の帰国に着いて行きたい。それでツナヨシに会って、飛ぶ姿を記録してくるんだ」

「ツナヨシってどこにいるのか知ってるの?」

「うん。確かナミモリってところで高校に行ってる。ショウイチに聞いて行けばいい」


以前聞いた夢のような話。未来の記憶。それだけでも有り得ないのに。
スパナと同い年の日本人の男の子が身一つで空を飛ぶ。
未来で彼は世界を救い、未来のスパナは戦闘兵器を作っていたらしい。
ちなみに、2人ともマフィアになっているとかいないとか。
信じたくない、そんな話。


「ツナヨシはマフィアのボスなんでしょ?
‥あたしは、嫌だな。
スパナが人を殺す兵器を作るなんて」

「どうして」

「悲しくなるから」


スパナは、天才だ。
天才だから、歪んでる。
倫理とか道徳とか常識とか、沸き上がる好奇心の前には全部消え去るんだ。

それが、あたしには悲しい。


「ウチが作らなくても、誰かが兵器を作る。今も軍にモスカは存在してる。兵器が使われたら人間にはタチウチできない。ツナヨシ達みたいな人間ばかりじゃないから」

(ツナヨシなら太刀打ちできるんだ。そうなんだ。あれ、「ツナヨシ達」って今言った?複数形?気のせいだよね)

「だから、ウチは最強のモスカを作りたい。ツナヨシみたいに、守るためのチカラ。
これは悲しい?」

「またツナヨシ、か‥。
守るったって、マフィアじゃない」

「一緒に会いに行こう、由芽。きっと仲良くなれる」

「‥考えとくよ」

「そうだ由芽、ウチのウチに来て」

「ウチのウチって、スパナの家?なんで?」

「一緒に住もう」

「どういうことかな?それは」

「ウチは日本語を学べて由芽はイタリア語上達する」

(‥まぁそんな理由だよね。スパナだもん)

「ツナヨシに会いに日本に行くまで?」

「違う。これからずっと。
ウチがひどい兵器を作るのが嫌なら、由芽がウチの作るモスカをチェックしてくれればいい」

「‥え?」

「ツナヨシも心配してるらしい。ウチがオソロシイ兵器を作るんじゃないかって。だから、由芽にミハッテ?もらえってショウイチに言われた」

「正一が?あたし兵器のことわからないのに?」

「ウチは由芽の言うことなら守るから。由芽が嫌だって言うなら、ウチは作らない」

「‥なんで‥」

「あ、そうか。ショウイチにちゃんと言えって言われたんだった。
ウチは由芽を愛してる。ケッコンしよう」

「‥‥‥‥‥‥‥ちょ、言ってる意味ちゃんとわかってる!?話飛んでない!?」

「どうして?
ジャポネーゼはケッコンしないとドーセイできないんじゃないの?ヤマトナデシコだから」

そもそも結婚してたら同棲って言わないんじゃないかとか、正一は何言ってんだとか、ヤマトナデシコについてはせっかくだから受け取っとく、とかいろいろ言いたいことはあったけど。


「ホントは語学もモスカも関係ない。ただ一緒にいたい。
ウチは由芽を愛してる。由芽はウチの心に咲く美しい花だ。その可憐な微笑みをずっとウチのそばに‥」

「うわぁあ、わかった、わかったからもういい!恥ずかしい!
どこから引っ張ってきたの、そのセリフ!」

「え、変だった?」

(そうだ、スパナはアモーレなイタリア人だったね。うっかり忘れてたよ!)

「‥‥あたしも、スパナと一緒にいたいよ」

「ホント!?
由芽!愛してる!」

「あたしも、あ‥あー‥スパナが好き」

「‥え、好きってライク?」

「あーもう!ラブだよ!ラブ!アモーレ!大好きなの!
その、愛‥してる!
うわ、言っちゃったよ!恥ずかしい!」






由芽が大学出たら日本で暮らそう。

え、日本?スパナいくら日本好きでも、大丈夫なの?

ダイジョーブ、日本にはボンゴレ日本支部があるから。

マフィアはダメ!

ダイジョーブ、ツナヨシに会ったらわかるから。

わかりたくない!

でも、ウチ、ボンゴレにシュウショク決まったし。

なんで!?

卒業決まった。飛び級で。

(そうだった、天才だったっけこの人‥)


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あきゅろす。
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