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最強ツンデレの敗北
イ.入口に突っ立ってないで
(ん?)

放課後、イルカ先生に捕まって説教くらった後、帰り支度して小走りにアカデミーの廊下を進んでいた。

向かいの角から一人の女の子がスッと曲がりこんできて、オレより少し先の扉に入っていった。

一瞬のことだった。

(あんな可愛いコいたっけ?)

興味本位で部屋を覗くと、そこは図書室だった。

(オレってばこんなトコ寄り付かねーもんな。
お、いたいた!かっわいいー!)

夕陽に染まる室内を、ぱたぱたと本を探して動き回る女の子。
ロングの髪を首のところで2つに束ねていて、そのゆるく巻かれた毛先が動くたびに揺れる。

「ユメ、そんなに急がなくてもいいぞ」

室内には男もいたらしい。
ユメちゃん(っていうらしい)に釘づけで気付かなかったってばよ。

「んーん、ただでさえ待たせてるのに。ごめん、ネジ」

「気にするな」


「お待たせ。行こっか。
‥‥‥‥‥‥‥ねぇ、」

いつの間にか、本を選んで借り終わったらしいユメちゃんがオレの目の前に立っていた。

(あわわわ)

「なななんだってばよ?」

「‥‥邪魔、なんだけど」

(‥‥‥‥‥‥‥‥へ?)

「入口で突っ立ってないでよね。
迷惑」

「‥‥‥‥‥」

ユメちゃんと男は、オレが呆然としてる間に図書室を出て帰って行った。

(‥なんか、‥‥ショックだってばよ‥。詐欺だ‥)













「今のは‥」

「ネジの知り合い?」

「いや‥そういうわけではないが」

「ふーん?」

「うずまきナルト‥だったかな」

「‥‥誰?」

「知らないのか?」

「‥‥えーと‥‥‥誰?」

「‥気にするな」

(聞いた俺が馬鹿だった)

ユメが関係のない人間を知っているわけがない。
クラスメイトしかり。

九尾の噂など聞いてもすぐ聞き流しているだろう。

(どんな噂も右から左だからな)


「ごめんね、待たせて」

「気にするなと言っただろう。
お前が練習に集中して時間を忘れることなど予想していた」

「‥いつもいつもすいません。
お詫びと言ってはなんだけど、
夕飯食べにきて?」

「いいのか?」

「うん、おばあちゃんも喜ぶから」

「いつもすまないな」

「いいのよ」

「じゃあ、さっさと買い出しに行くか」

「了解。
クナイ安くなってるといいな」

「今月安いのは手裏剣だぞ」

「ネジって主婦みたいよね」

「‥お前よりは向いてるかもな」






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