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帯人夢


「マスター、外に行きたいです。」


俺はそう言いながらマスターをチラッと見た


「帯人?うん、え…っと、いい…けど…包帯は取って行こうか?目立っちゃうし、…ね?」


ゆっくりマスターが俺の右目に掛かっている包帯に触れる。

「うん。」

俺はおとなしくマスターに包帯を外されるのを待った


シュルル…

マスターは丁寧に俺の包帯をはずしていく…

「もう…怪我はだいぶ良くなったみたいね…傷も残ってないし…よかった。」

「うん…マスターのおかげ。」

優しいマスターの声…聞いていて落ち着くな…

そう思いながら目を閉じておとなしくする



完全に包帯を外されると俺の蒼い右目が捉えたのは優しげなマスターの顔



「やっぱり…綺麗な瞳、こんなに綺麗なのにどうして隠しちゃうの?」

マスターは恍惚とした表情で僕の右目にかかる黒い前髪をかきあげながら首をかしげる



「それは…」


そんなに見つめないでよ、といった感じで俺はマスターから目を逸らす


尚も見つめ続けてくるマスター

「それは?」


―マスターが…綺麗だというから―


そう告げるとマスターはきょとりとしたあとクスッと笑い出した。


「自分の瞳にまで嫉妬?綺麗なこの瞳は帯人自身だから嫉妬することなのに…」

クスクス笑うマスターはチュッと目元にキスしてきた。でも俺はその言葉になんだか寂しくなった

「違う…蒼色はKAITOの色だ。亜種の僕のものじゃない…」


そう呟きながら帯人は近場にある眼帯を拾って自分の右目を覆った

「あ…」

「さ、行こうよマスター。包帯じゃなくて、これなら目立たないでしょ?」

マスターの手を握って立ち上がりながらチラッと顔を伺うと
残念そうに肩を落とすマスター


俺は知ってる…マスターは俺の蒼い右目が好きなんだ…

だから俺は隠す…マスターには…KAITOにはない、俺の紫色の左目だけを見ていて欲しいから…


「マスター、今日は何を買いに行こうか?」


マスターの手を握りながら俺達は外へと出掛けた。




END


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あきゅろす。
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