帯A
「え…?」
俺の言葉を聞き、手当てしてくれてるマスターの手が止まった。
「姫?」
「帯人ッ…馬鹿でしょッ!!なんで兄さんに嫉妬してるのよ!!」
そう、姫と出掛けていたのは姫の実の兄貴。
マスターの顔が真っ赤になっていく。
まるでゆでだこみたいだ。
可愛いけど…馬鹿って酷くない?
「俺、姫の兄さん嫌い…。お前、兄さんに逢う時すごく可愛い格好していく。狡い。」
不貞腐れて姫を見つめる。
「か、可愛いって…帯人…私がお洒落しても、いつも言ってくれないくせに…ッ。」
「いつも思ってた。その服だって似合ってる可愛い。」
明らかに動揺して真っ赤になるマスターに俺は機嫌が少し良くなった。
「こ、この格好は…兄さんが、お洒落していかなきゃ…色気より食い気だとか嫌味言われるから…」
姫がもごもごと口ごもりながら言う。
なんて愛らしいんだろう。とても可愛い、俺だけのマスター…
「そんな理由でも、姫が俺以外とお洒落して出掛けるの…俺はヤダ。」
ヤダって…なんか子供みたいだな。
自分で言っててそう思った。
「ヤダって…帯人、子供じゃないんだから。もう…。」
ほら、マスターも同じ事思ってた。
でもいいんだ、だって俺…
「姫の前では子供でもいい…。」
マスターを抱き締めて甘えるように擦り寄る。
ほら、真っ赤になって固まったマスターはもう俺の虜…
俺はずっと前からマスターの虜なんだから…これぐらい、いいよね?
「俺だけのマスター…姫、愛してる。」
END
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