連載B(青)
《青視点》
俺はインストールされて、
気がつけば広い家のリビングに立っていた。
周りを見渡すが自分のマスターらしき人は見えない。
「お兄ちゃんのもわけてよね。」
「はいはい。」
ん、部屋の奥のほうから女性と男性の声が聞こえてくるな。
だんだんこっちに向かってくるみたいだし、その人達が自分のマスターかな?
どんな人なんだろう…楽しみだな
【数分後】
「よく来たな!!」
「カイトいらっしゃい♪」
俺は熱烈に歓迎されていた。
マスター達は想像していたよりも幼く、自分よりも背の低い高校生ぐらいの少年と少女だった。
第一印象は…少しの驚きと抱擁される暖かいぬくもり。
よかった…優しそうなマスター達で。
「つーことで!カイトお前今日から俺達の家族な♪俺、兄貴が欲しかったんだよな〜♪」
機嫌良さそうな少年マスターは笑顔でそう言ってくれた。
「え?!あッ、ありがとうございます!」
ニッコリ笑い返すと頬を赤らめて顔を逸らされてしまった。
照れ屋さんなのかな?
「お兄ちゃんッ!まだ私達、名前名乗ってないよ?カイト君困っちゃうんじゃないかな?」
隣りにやってきた少女マスターがそう言うと、「あ、これおやつね。美味しいんだよ♪」と俺にハーゲンダッツと書かれたアイスを渡してくれた。
なんだかデザインとか見るからに高そうなんですけど…
そう思いながらオロオロとしていると少年マスターは
「ん?忘れてたな、俺の名前は桜木王子だ。…あれ?本物のカイトはアイス見ても喜んだりしないんだな?」
きょとんとまた見つめられた。
「アイス…?ですか?嬉しいですよ!マスターから貰える物は何でも!」
なぜでしょうか?マスターから貰えた物なんですから嬉しいと思ってるのですけど、マスターにはそうは見えてないんですかね?
「ふふっ、お兄ちゃんってばKAITOといえばアイスが大好きなバカイトだ!ってのが当たり前だと思ってるから、貴方みたいに落ち着いた感じでいるのが不思議なんだよ。」
少女マスターは微笑みながらスプーンを渡してくれた。
「そうなんですか?あ、ありがとうございますマスター。」
「あ、私の事はマスターじゃなくて姫って呼んでね?マスターって呼んでたらお兄ちゃんと間違えてややこしいし。」
どうやら気さくなマスターみたいだ、少女マスターは。
「はい、ではマスター姫と呼ばせて貰いますね。」
「んー。もっと軽めでいいんだけどなぁ。マスターとかいらないよ?あと、敬語も。」
「いえ、マスター姫も俺のマスターですからね。」
優しいマスター姫の言葉…
嬉しくは思いますがやはりマスターに対して敬語は礼儀だとインプットされてますしね。
「そ、そう…?」
マスター姫は少し顔を赤らめて俺を見る。
あれ?俺なんか変なこと言いましたか?
「なんつーかよぉ、恥ずかしいよな。そんな台詞よく言えるな。」
マスターも少し照れてるような顔で俺を見てくる。
なにが恥ずかしいのでしょうか?
そう考えてるといきなりマスター姫が俺に飛び付いてきた。
「うん!そうだよね!私もカイト君のマスターだもんね!」
嬉しそうに俺に戯れついてくる彼女はまるで人懐っこい子犬のようだった。
「ま、ますたぁー姫?」
俺は思わず情けない声が出てしまった…
「よしっ!今から歌いにいこ!私の部屋、ピアノあるよ!」
楽しそうに笑いながら俺を引っ張って歩く、マスター姫。
ズルズルと引っ張られながら俺は思った。
彼女…俺より小さいのにどこにそんな力が…
あ、アイスまだ食べてない…
「あーぁ、姫に先越されちまった。あれ?アイツらアイス食べてねぇじゃん。カイト可哀相〜。」
………。
「しゃーねぇ、冷蔵庫に入れといてやるか。」
その後、マスター姫から解放された俺はマスターにアイスを貰った。
アイスはすっごく美味しかったから、マスターにまた食べたいって言ったら。
なんだか嬉しそうに微笑まれた…。
マスター…
俺は…良いマスター達に出会えて幸せです。
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