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短編集・読み切り



 岡本のほうはというと、最初から最後ま

で一度も勃たなかった。

 終始縮こまったままの股間は少し前に2

日間も勃ちっぱなしだったなんて考えられ

ないほど落ち着いていた。


 …そんな岡本がどう間違ってこんな従順

な奴隷のようになってしまったのか。

 彼はただ憂さ晴らしをしていただけだし

彼を調教しようだとか優しくしようなんて

考えたことは一度もない。

 もちろん岡本も高取が落書きをしている

ことは知っているが、それがどんなもので

どんな効果をもっているのか彼から教えら

れたこともない。

 だからこそ余計に気味が悪い。

 岡本が何を考えて従順に振る舞っている

のかわからないから。


「出すぞ。目閉じてろ」


 繰り返し喉の奥を高ぶったもので突きな

がら抑揚のない声で命じ、掴んだままの髪

の毛を岡本の後方に引っ張る。

 岡本の口内から出した高ぶりは手を添え

て数回扱いてやるとあっけなく精を放った。

 苦しそうに咳き込むその顔に白い液体が

飛んでいく。

 岡本は肩で息をしながらそれを顔で受け

止め、高取が髪から手を離すとまだ温かい

白濁を丁寧に指で掬い取って口へと運ぶ。

 その顔には先ほどまで幾多の男を相手に

していた時には見せなかった恍惚とした笑

みが浮かんでいた。

 けっして美味しいものではないだろうに

全て指で掬って口元に運び、それでも足り

ないように青年の萎えたものにしゃぶりつ

いて吐き出しきれずに残ったものを吸い上

げる。

 どこまでも貪欲に求める岡本はどこか頭

のネジが飛んでしまったんじゃないだろう

かという考えに達した。


「美味いのか?」


 尋ねると岡本はまだ名残惜しそうに彼の

ものを舐めながら頷く。


「じゃあ今度はその口にたっぷり射精して

 もらえよ」

「それが高取君の望みなら。

 でも僕が高取君のを美味しいと思うのは

 それが高取君のだから。

 他の人のは、きっと美味しく思わない」


 皮肉を込めて言ったつもりだったのに、

彼はあっさりと頷いた上で訂正した。


「なんで俺のは違うんだ」

「高取君のだから」

「だからどう違うんだよっ」


 苛立って声を荒らげると岡本は肩を震わ

せた。


「どうって言われても…」


 あっさり即答した癖に言い淀む姿に苛立

ちが湧いてくる。


「今度はその腹が膨れるまでヤロー共の精

 液呑んでみるか?」


 思ったことをそのまま口走ってしまった

が、言ってしまってから我ながら名案だと

思う。

 言った直後、岡本の表情が一瞬強張った

ところも気に入った。

 久しぶりに青年の表情が思うとおりに動

いたことが妄想に拍車をかけていく。


「おい、仰向けに寝て足開け」


 いきなり命じられて岡本は戸惑ったが、

高取の機嫌を損ねることのほうが恐ろしく

て言われるがまま寝転がってM字に両足を

開く。


「そのままケツの穴に指突っ込んで拡げろ」

「っ…」


 要求されたのは少々窮屈な体勢たっだけ

れども岡本は大人しく彼の言葉に従った。

 先ほどまでさんざん嬲られていたその縁

は真っ赤に腫れ上がっており、指で触れる

だけで体が震える。

 それでも構わずに体内に残るもので濡れ

た指先でゆっくりとそこを押し広げる。

 未だに放っていない岡本の高ぶりは中途

半端な熱を持て余したまま角度をつけてい

た。





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あきゅろす。
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