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短編集・読み切り



 岡本の態度を見て高取はフンと鼻で笑っ

た。


「気持ち悪いとは思ってたけど、お前ちょ

 っと頭おかしーんじゃねーの?

 俺はお前で遊んでるだけで調教とかした

 覚えないけど」

「いいんだ。僕がしたいだけだから」


 “僕がしたいだけだから”

 岡本はこのところその一言で全てを済ま

せようとする。

 まるでそれが本心であるかのように。


 しかし高取が岡本の体に落書きをするの

に大した理由なんてない。

 いつも教室の隅にいて顔色を窺うように

しているのが気にくわなくてよく八つ当た

って憂さ晴らししていた。

 そんな時に悪魔と名乗る存在から面白い

オモチャを貰ったから、軽い気持ちで試し

ただけだ。

 本当に誰でもよかった。

 ただ誰かで試そうと思った時に一番身近

でやりやすい相手だっただけ。


「いつまで舐めてんだ。

 しゃぶれ」


 袋を舐めたり吸ったりしていた岡本に顔

を上げさせて、この口にゆるく頭をもたげ

始めたものを突っ込む。

 岡本は口内に入り込んだそれに躊躇いも

なく舌を這わせた。

 たっぷりと唾液を絡めて舐め啜る音が響

く。


 魔法のマジックペンで岡本の体に悪戯書

きを始めて、二度目三度目あたりはまだ青

年は泣き叫んで抵抗した。

 複数に代わる代わる揺さぶられ声が枯れ

るまで抵抗する岡本を見てスッと心が軽く

なったような気さえした。

 しかし回数を重ねていくうちに岡本は抵

抗をしなくなり、最近では自ら体を開いて

乞うようになった。

 だから彼の体に書き込む悪戯書きは日々

エスカレートしていく。

 屈服して泣く彼が見たくて。

 許しを請う彼が見たくて。

 しかしそれができないと、彼の中でどん

どん苛立ちがひどくなっていく。

 彼が苛立てば苛立つだけ、マジックペン

の中の黒いインクがじわじわと溜まってい

く。

 そのインクで高取はまた岡本の体に無茶

な落書きをすることを繰り返すのだ。


「まだるっこしいんだよっ」


 高取は岡本の髪を掴んで腰を振るった。

 無茶苦茶に腰を打ち付け喉を奥を繰り返

し突かれる岡本は歯を立てないようにする

ので必死だ。

 こらえる嗚咽感が涙に変わって目尻から

零れていく。

 それでも彼のものを咥えたまま必死に吸

う姿は健気にすら見えた。





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