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短編集・読み切り



 ざわめきの去った公園の隅に近づいてい

く足音。

 ひどくのんびりとしたその足音は、木々

の影になり死角になっているその場所に誰

かがいると既に知っているようだ。


「…よぉ。

 今夜もいいカッコだな、岡本」

「高取、君…」


 ドロドロの精液にまみれぐったりと地面

に伏していた細身の青年を両手をズボンの

ポケットに入れたままの影が口角をあげた

まま見下ろす。

 青年はよろよろと汚れた体を引きずるよ

うにして起こす。

 尻穴から幾筋も零れる白濁にも、結局一

度も放たれることがなく未だに上向いたま

まの高ぶりも気にせずにポケットに手を入

れたままの彼の前に膝をつく。

 どちらも高校生の面立ちをしているが、

ハッキリと支配者と服従する者に分かれて

いた。


「ください。

 高取君の精●、ください」

「欲しけりゃ咥えてイかせてみせろ」


 許しを得られてボロ雑巾のように生気の

なかった青年の表情に赤みがさす。

 とろりと先端から雫を零す自身の高ぶり

に気づいた様子もなく彼の股間から1秒で

も早くと萎えたままのそれを取り出す。

 まるで愛しいもののように頬擦りしてキ

スをいくつも落とし、我慢できないとばか

りに先端を口に含んだ。

 たっぷりと唾液で濡れた舌で先端を丁寧

に舐める。

 ほんのりしょっぱいのは彼の出したもの

の名残りだろうか。

 それでも彼のものだと思えば愛しく、青

年は味わうようにして舐めしゃぶった。


「今夜はイッたのか?」


 夢中になって舐めている青年の頭上から

降ってくる声。

 影の薄い青年は彼のものを咥えたままゆ

るく首を横に振った。


「なんだ、つらまん。

 中出しされまくればイクと思ったのに」


 興が冷めたように吐き捨てる彼の言葉に

岡本は刃でもあてられたように体を震わせ

た。


「それが高取君の望みなら、次からは頑張

 るから…」


 不安げな縋り付いてくるような目が揺れ

る。

 その目はどうしようもなく彼を苛立たせ

彼の言葉を待っている岡本の口を開かせる

と無言で奥まで突っ込んだ。


「んぅっ」


 喉を奥を突かれて思わず歯を立ててしま

いそうになったのを耐える。

 黙れという無言の圧に怯えながらも、ず

っと欲しかったもので口内をいっぱいにさ

れて遠慮がちにそれを舐め始めた。


「俺に突っ込まれたらさっさとイッちまう

 くせに。

 どういう変態だよ、お前は」

「高取君、だから…」


 吐息と共に返答し、今度は袋の方へと舌

を這わせる。

 横柄な態度の高取は岡本をイかせようと

して腰を振ったことなど一度もない。

 ただひたすらに自分の欲を発散させるた

めだけに腰を打ちつけて岡本を責めたてた。

 だから彼は未だに岡本がどこを刺激すれ

ば喜ぶのか知らないし、興味すらない。

 それなのに岡本は高取が穿つと長くはも

たない。

 同性相手であればいくらでも相手にして

きたような男達に好きなように突っ込ませ

てもイかなかったのに、だ。





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