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短編集・読み切り



 高取は自分を落ち着ける為に深呼吸する。

 目の前に向かいの部屋のドアが見える。

 ドアは中央がガラス張りで、ドアを開け

なくても部屋の様子は見てとれた。

 部屋は相変わらず暗くテレビの逆光で眩

しかったが、ソファの上の女…少女は先ほ

どの体勢のままセーラー服の乱れもずり下

されたままの下着もそのままに大きく開い

た股の間から白い液体を溢れさせていた。

 エプロン姿の男はハゲオヤジが出て行っ

てもそのままで、ハゲオヤジはいなくなっ

たのに部屋の中の異様な空気は凍り付いた

まま動かなかった。


「……」


 高取は関わりたくなかった。

 面倒事に巻き込まれるのは御免だ。

 下手に警察沙汰になったら芋づる式でこ

ちらまで被害をこうむりかねない。

 だがしかし、廊下を挟んだ向かいの部屋

がこんなことになっていると知っていて眠

れるほど豪胆でもなければドライにもなり

きれなかった。

 奥歯を噛みしめ、思い切って向かいのド

アを開く。

 ハゲオヤジのものと思われる強い精液の

臭いが充満する部屋に足を踏み入れると、

ピクリとも動かない少女を一時も目を離さ

ず凝視したままの男が今にも泣きだしそう

に震えながら“違う”“俺じゃない”“助

けて”を何度も繰り返しているのが耳に届

いた。

 改めて異様さを目の当たりにしつつ、あ

まりの情けなさに高取は部屋の空気を変え

るべくわざと大きなため息をついてみせた。


「いつまでボケっとしてんだ。

 アンタ店員だろ。

 もうちょっとシャキッとしろよ」


 少女はともかく大学生くらいの突っ立っ

ていただけの男の面倒までは見切れない。

 しかし男は壊れたラジオの様に同じ単語

を繰り返すだけで、相変わらず動こうとは

しなかった。

 もうそちらは無視をしようと決めて、高

取は改めて少女に目をやった。

 涙を流した目は開かれてはいても、もう

今は何も映していないように虚空を見つめ

るのみだ。

 乱れたセーラー服のスカーフの色で少女

が3年の生徒だと知る。

 スカートは完全に捲り上げられ、下半身

は力なく投げ出されたまま部屋に充満する

臭いの原因はその股間からべっとりと尻の

方へと伝っていた。

 でもそれ以上に印象的だったのは、その

肌を汚す黒いインクだった。

 “淫乱”“メスブタ”“SEX大好き”

“ビッチ”“チンコください”…よくもこ

こまでというくらい、見るに堪えない単語

が油性ペンらしきインクで書き込まれてい

た。

 運悪く特殊な性癖のハゲオヤジを引いち

まったのか…と憐れんだ高取の目がある単

語に吸い寄せられた。


 “Fuck!!→”


 太腿のその文字から目が逸らせない。

 長く伸びる矢印は、白い精液のこびりつ

くその穴に向かっていた。

 耳の奥で鼓動が早まっていく。

 いつの間にか唇を薄く開いて呼吸してお

り、乾いた唇を湿った舌で舐めるのも心地

よかった。

 たった一つの単語が頭をいっぱいにして、

それ以外考えられなくなる。

 入れろ、突っ込んで、吐き出してしまえ。

 触れてもいない股間は熱を持ってジーン

ズを押し上げていて、それを不思議に思う

暇もなく高取は自分の勃起したペニスを下

着の中から引き出した。


 あの穴に、こいつを…


 何も考えられなかった。

 現実を直視できず、放心状態の少女のこ

とも。

 未だに見下ろし続けている若い店員のこ

とも。

 …本当に自分はそんなことをしたいのか、

その疑問をもつことすら。


 ぐちゅっ


 ハゲオヤジの精液で濡れる穴にいきり立

ったペニスをねじ込む。

 既に精液という潤滑液があるその場所は

抵抗もなくすんなりと高取の熱棒を受け入

れた。

 高取が腰を振って動き出しても少女の目

に光が戻ることはなく、小刻みに短く声を

発するだけだった。

 それでも少女の中は精液に濡れながら熱

く高取のペニスを襞で絡み取り締め付け、

さらなる精液を搾り取りたいように蠢く。

 高取は絡みつく襞をかき分けながら腰を

引き、次を待ちわびて開くそこにさらに深

く突き入れる。

 腰がもっていかれそうなほど気持ちいい。

 熱く熟れた快楽のカーテンを幾重も一度

に開いていくようだ。

 快楽で腰が溶けそうだなんて、初めての

感覚だった。

 高取は何度も突き入れて快楽を貪り、そ

して欲望のまま少女の奥で果てた。

 流石に中に出すのはまずいという理性す

ら働かなかった。

 痙攣してなお精液を搾り取ろうとする襞

にたっぷりと白濁した残滓を飛ばし、一息

ついて萎えたペニスを引き抜く。

 そうしてようやく意識が戻ってくる。

 気絶していたわけでもないのに不思議な

感覚だったが、ようやく我を取り戻せた…

そんな気分だった。

 そうして我に返って…愕然とした。

 自分は何をしたのかが、急速に冷えた思

考の中に切り込んでくる。


 この部屋の状況を何とかしようとした。

 本当に何とかしなければと思って…それ

から…それから。





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あきゅろす。
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