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短編集・読み切り





 ギシッ


 上半身を投げ出された衝撃と投げ出され

た何かが軋む音に、泥の淵で揺らいでいた

意識を強引に引っ張り上げられた。

 覚醒するや後頭部に重い鈍痛がのしかか

ってくる。

 瞼を開いても視界が真っ暗なのは目隠し

をされているからだと未だに鈍い思考で理

解する。

 とにかく起き上がろうと手をつこうとし

て、背中の向こうに回された手首がビクと

もしないことに気づいた。

 頭痛は連日の睡眠不足が原因ではないの

ではないかと思い当たったのは、そんな状

況下で背後にはっきりと人の気配を感じた

からだ。

 カチャカチャとどこか耳慣れた金属音が

埃っぽい部屋の空気を揺らす。

 それがベルトを解く音だと気づいた時に

はもうベルトは抜き取られて、何故という

問いが追いつくより先に下着ごとズボンを

引き下ろされていた。

 冷たい床に膝をついているからズボンは

膝のあたりまで落ち、剥き出しの尻が空気

に触れた。

 背後にある人の気配が僅かに嗤ったよう

な気がする。

 遠い昔に覚えがあるような、そんな嗤い

だった。






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