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短編集・読み切り



 昼間、嫌というほど彼に揺さぶられ中に

出されはしたが、私自身は一度しか達して

はいない。

 彼は休日に呼び出すといつも必ず一度は

私に吐精させる。

 その方法は様々だったが決まって達した

私を好き者だの変態だと笑って、あとは自

分の好きなように私の中を掻き回し貫いて

自分の欲の捌け口に使う。

 若い彼に付き合って幾度も放ってしまう

と腰の疲労は今以上に酷くなるだろうし私

自身も望んではない。

 どちらかと言えば、彼の雄々しいカリ首

で体の奥のあの場所を擦られ抉るように突

き上げられる快楽のほうが重要で…いや、

そのことはもういい。

 紹介状を渡してしまえば彼との縁はもう

切れる。

 つまり彼が満足するまで付き合ったとし

ても私自身の性欲が全て満たされるわけで

はないということだ。

 大人のオモチャというものはもともとが

人が興奮する為に作られているのであって、

それを見て下半身が反応してしまったとし

てもなんら恥じることはない、はずなのだ。

 ズボンの前を開いて下着の中から頭をも

たげ始めている性器を取り出す。

 緩く指で撫でるだけで快楽が腰に渦巻く。

 視線をパソコンの画面のピンク色の写真

に向けて軽く扱く。

 私は来週、あんなものを尻の中に入れて

彼がくるのを待たないといけないのか…。

 手の中で扱く性器がグングンと反り返っ

ていき、気づいた時には先端から透明な滴

が溢れて扱く指先がグチュグチュと卑猥な

音をたてていた。

 でも、これだけでは物足りない。

 奥に、体の奥に刺激がほしい。

 無意識で伸びた指先がデスクの引き出し

の奥から軟膏を探り当てる。

 もう半分くらいまで減ったそれを慣れた

手つきで開け、指先につけた軟膏を尻穴の

入口に塗り広げる。

 軟膏が少し染みるのは、やはり今回も彼

の乱暴な扱いで傷がついてしまったからな

のか。

 ただそれだけならただの暴行なのに、そ

うでないから困る。

 彼のあの若くて雄々しいペニスが体の奥

を突き上げる快楽は…いや、やめよう。

 彼は別の病院で別の医師にかかることに

なる。

 私は彼の主治医として彼の話を聞く以外

には…いや、それすらも口数の少ない彼から

聞いてガス抜きをしてやることもままなら

なかったが…してやれなかった。

 あとはもう転院先で良い医師に巡り会う

ことを願ってやることしか出来ない。

 軟膏で滑る指先を尻穴の奥にゆっくりと

埋める。

 最初こそ乱暴に扱われれた痛みで泣いた

けれど、ここ最近は彼のやり方がわかって

きてそこまで辛くない。

 軟膏を使うのは傷の治療というより専ら

尻穴の奥を自分で慰めるためだ。

 穴の奥を指で擦ってみると、鈍い痛みと

共に僅かな快楽が湧き上がる。

 存在感のありすぎる彼のペニスとは比べ

ものにならなかったが、それでもその快楽

が私の張りつめたペニスを追いたてる。

 あの小さなピンク色のローターでここを

刺激し続けたら私はどうなってしまうんだ

ろう。

 凹凸のある場所で抉られたらたまらない

この奥を。

 想像するだけでもうペニスは限界まで反

り返って、あっという間に薄くなった精で

手のひらを汚した。




 くたくたになった体をベッドに横たえる。

 もう夕食を通りすぎて夜食と呼ぶ時間だ

が疲れすぎて食欲すらない。

 ベッドに体を横たえるといつもならその

まま泥のように眠ってしまうのだが、今夜

は意識だけが妙にクリアだった。

 理由は解っている。

 明日が彼…芹澤一也の診察日だからだ。

 そして、恐らく明日で彼に会うのも最後

になるだろう。

 彼はもともと淡白な性格で基本的に執着

心というものが薄い。

 転院ということになれば案外あっさりと

私のことなど忘れてくれるかもしれない。

 出来れば私をレイプなんてする前にもっ

と楽しい遊びや趣味でも見つけてくれたら

良かったが、それを言うのは今更だ。

 過激な部分はあるものの、彼だっていつ

か一人立ちして一人暮らしを始めるだろう。

 家という閉塞的な場所を離れて自由な生

活を始めれば、彼の鬱憤の捌け口なんてい

くらでも見つかる。

 そうすればもっと精神的にも安定するだ

ろう。

 彼の一見すると過剰な行動は、思春期に

ありがちな方向性の定まらない暴走が閉塞

的な家や有名進学校という場所に抑圧され

て爆発しただけなのだ。

 それが彼の両親の咎めるような場所であ

ったり、彼のストレスを軽減させるために

話を聞こうとした私に対してだった、とい

うだけの話。

 …そういえば、彼はあの晩ちょっと気に

なることを言っていなかったか。

 叔父がどうの、と。

 ただでさえ普段とは違う異常事態だっ

たし、私自身も日々の疲れだけでなくパ

ニックと頭痛でうっかり聞き逃していた

が。





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あきゅろす。
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