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短編集・読み切り



 ぬるっ


「んぅっ」


 顔をそらしまま耐えていると、いつの間

にか伸びてきていた滑る指先が左の乳首を

擦った。

 ただでさえ体の奥を擦られて揺れる体の

動きが一瞬乱れる。

 島崎の指の形を咥えこむ縁が締まるのが

分かる。

 違う違うと否定したいのに、島崎の親指

の腹がローションのぬめりを借りてしつこ

いほど乳首を押し潰してくる。


「あっ。ん、…しつこいっ」

「やっと声聞けたー」


 睨む俺を島崎がデレデレした顔で見上げ

てくる。

 その頭を叩いてやりたいけど、この時間

を1秒でも早く終わらせる為だと堪える。

 左胸に張り付く掌の手首を掴んで下半身

へ誘導する。


「もっ…早くっ」


 島崎の指先に体の奥を撫でられる度に腰

が揺れ、縁がきゅうきゅうとその指を締め

付けてしまう。

 だがその刺激だけでは足りず、かといっ

てその刺激を切り離すことも出来ない。

 ローションで塗れた手で軽く擦ってくれ

るだけでいい。

 先端を口に含んで軽く吸ってくれるだけ

でこの熱から解放されるはずだから。

 もうあらぬところに入り込む指のことは

今だけは言い咎めないから、イかせてほし

い。


「ん?何ー?イキたくてたまらないの?」

「っ!」


 ニヤけた顔で熱っぽい眼差しで見上げて

くる島崎の顔はすごくすごく腹立たしいけ

ど、今だけは仕方ないと湧き上がってくる

ものを呑み込んで黙って頷く。

 腰を揺らす度に俺のチ●コは新たに零し

た先走りでぐっしょりと塗れ光っているの

だ。


「真っ赤な顔で恥ずかしそうにおねだりす

 るミツも可愛いー」


 締まりのないデレデレとした顔で惚けた

ことを言う島崎は、ようやくダラダラと先

走りを零すチ●コにそっと手を添えるとチ

●コの先端を口に含んだ。


「あっ、あぁっ…!」


 唾液で湿った生暖かい粘膜を敏感なチ●

コの先端で感じるより早く、俺は体の奥を

擦られながら熱量を島崎の口内にぶちまけ

ていた。

 恐らく島崎が溢れる先走りを啜り上げよ

うとしたその弱い刺激にすら耐えられなか

ったのだろうと気づいたのは、頭が熱と気

怠さから解放されてからだった。


「…んっ、うわぁ。ミツのすっげぇ濃い。

 穴の奥ほじられるの、そんなに気持ち良

 かったんだ?」


 自らの体を支えきれずにソファにぐった

り横たわる俺の耳に、まだ期待と熱気冷め

やらぬ島崎の声がまとわりつく。

 白濁も先走りも綺麗に舐めとろうとする

島崎の舌がねちっこいくらいチ●コに絡み

ついてくるけど、それをどうこうするより

呼吸を整える方が先だ。

 だがもはや開き直ったのか、むしろなぁ

なぁで許されたとでも思っているのか、俺

が果てたというのに未だに俺の体内で指を

蠢かせている。


「ふごっ?!」

「抜け」


 体はまだ快楽の余韻を残してはいるが

それでもケツで感じる違和感が凄まじく、

俺は言葉より先に素足の裏を島崎のデレ

顔に押し付けた。

 口より先に足が動いたのは、まぁ誤差

だ。


「抜けって言ってるだろ、バカ島崎」


 咄嗟のことで俺に足の裏を押し付けら

れながらふごふご言ってる島崎にとびき

り低い声で命令すると、ようやく体内か

ら指が抜かれて違和感が和らいだ。

 完全に違和感が消えないのはずっと島

崎に弄られていたからだと思うと、ふつ

ふつと湧き上がる怒りに油を注ぐ。


「さぁーて、自分が何をしたのか分かって

 んだよな、島崎?」

「だけど、ミツだって気持ちよさそうだっ、

 ぐふっ!?」


 俺の足の裏から逃れようと慌てて体を起

こす島崎の顔面にもう一度足の裏を押し付

けてやる。

 本当ならスニーカーを履いてやってやり

たいけど、今は玄関まで行くのが億劫だか

ら素足で我慢してやる。


「俺、あれだけ嫌だって言ったよな?

 玉の一つや二つ、踏み潰されても文句は

 言えないだろ、島崎?」

「ヒッ…!」


 可能の限り低くドスの効いた声で話しか

けると素足の向こうで島崎が固まる気配が

した。


「あのローションのボトルって結構太いよ

 なー?

 でもまぁ、夏休みいっぱいかけてケツの

 穴拡げたら入るようになるよな?

 さすがにケツの穴裂けてもいいから突っ

 込めなんて鬼みたいなことは言わないか

 らさー、俺」

「さ、さすがにアレは冗談、むごっ…」


 しらじらしい笑い方で躱そうとする島崎

の唇に足の裏で塞いで黙らせる。

 ヘラヘラ笑おうとする島崎の目を真っ直

ぐな冷たい視線で見下ろす。


「俺、ちゃんと言ったよな?

 俺のケツに突っ込みたいなら、まずアレ

 をテメェのケツで呑み込めるようになれ

 って。

 俺のケツに先に突っ込んだんだから、勿

 論アレだってそのケツ穴で呑み込んでく

 れるんだろ?あ?」


 まだ何か言いたげな島崎の唇にぐりぐり

と足の裏を押し付けながら俺は表情を変え

ずに告げる。

 思考の全ては激怒で溢れていて、今は何

をし返しても許されるような気さえする。

 この先とか、そういう煩わしいことは今

はどうでもいい。

 岡本の身代わりだとか、ケツの奥を弄ら

れるのが思ってたのとは違ったとか、そう

いうのは些末な問題だ。

 ダメだと言ったことをやらかしたら罰せ

られるものだ。

 それを言い聞かせても理解しない島崎に

は体で分からせないと。

 それは俺だけに許された仕返しなのだか

ら。


「それとも玉一つ差し出してみる?

 今すぐ踏み潰してやるけど。

 二つもあるんだし、一つくらい潰れたっ

 て精子枯渇しやしねぇって。

 …なぁ、どっちにする?」


 夏休みはまだ半ば。




            END





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