短編集・読み切り
◆
「オナホじゃないよ」
キュッ
奥の穴を弄られて怯えと不安から少し萎
えたチ●ポを島崎の掌が包み込むようにし
て握る。
もともと急所であるだけでなく、勢いは
削がれたとはいえ直前まで蜜を溢すほど勃
っていたチ●ポを掴まれて逃げ腰だった五
感を縫い止められた。
おかげでバカ島崎が己の欲を制するほど
真剣な顔できっぱりと言いきったのを直視
することになってしまった。
「ミツだから挿れたいんだ」
あっ………
“マズイ”まで思考が追いつかなかった。
嫌な予感を察して心に壁を作るより早く
島崎の真剣な声が鼓膜を撫でて脳に届き、
顔を反らすより早く心臓が内側から肌を叩
く。
引いていた血の気が沸騰する勢いで体の
末端の血管まで駆け巡った。
「バッ……カじゃないのっ?」
冗談として流さないと。
だってどう頑張ったって、バカ島崎の無
駄に立派なチ●ポを突っ込まれたらケツの
穴が裂ける。絶対に。
それなのに声が震える。
怯えなのかどうなのか、オレ自身も解ら
ない感情で。
おかしい。しっかりしろ、オレ。
何を考えてるんだ。
余計なことなんて考えるんじゃない。
顔を反らすのが精一杯で、身体中の細胞
が熱を持つような錯覚すら起きる。
いつも脳が使っているエネルギーを根こ
そぎ持っていかれたようで考えがまとまら
ない。
早く話の主導権を取り戻さないと大変な
ことになる、そんな予感がするのに。
ぐちゅっ
「んぅっ」
はりつめたチ●ポを滑る掌でしごかれて
反射的に腰が揺れた。
俯いたままで視線だけそこへ向けると萎
えた筈のチ●ポは島崎の手の中ですっかり
反り返って蜜を溢していた。
ちょっと待って。
なんでバカ島崎が都合良く誤解するよう
な状況になってんの。
チ●ポなんてまだまともに弄られてない
って。
こんなのまるで……まるでオレが島崎の
を欲しがってるみたいじゃないか。
“先っぽだけ”なんて嘘だ。
ケツの穴を弄るのを許してしまったら、
島崎だって引けなくなる。
オレに欲情してオレをオカズにしてオナ
るような奴が、突っ込まずに満足なんて出
来るものか。
「もういいっ。自分でやるからっ」
「このまま続けるのと、キスの続きするの、
どっちがいい?」
「どっちも嫌だっ」
オレの溢したもので濡れる島崎の手を退
けたくて島崎の手を掴むけど、島崎はそん
なオレに選びたくもない二択を突きつける。
島崎の気持ちも解らないままキスの続き
をするのもゴメンだけど、このままでは島
崎のペースを崩せないまま男として悪友と
して越えてはいけない一線を越えてしまい
そうだ。
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