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短編集・読み切り



「言いたくないなら言いたくなるまでセン

 セの弱いトコロ擦ってあげようか?」


 選びたくもない二択を並べて背後の気配

は笑う。

 言葉だけの脅しではないと示すようにゆ

っくりと体内で動いて硬い異物が存在をア

ピールする。


「……っ」


 長引かせたくないのならば、ただ淡々と

彼の言葉を復唱すればいい。

 言えと言われたから言うだけで、そこに

自分の意志など存在しない。

 しかしそう思いはしても開いた唇の間か

らその言葉が出ることはなく、だからとい

って他に良策があるわけでもない。

 躊躇する間に待ちくたびれたのか、ズル

リと体内の熱が動いた。

 いや、実際にはそれほど時間は経過して

いないはずだったが彼は待ってはくれなか

った。


「あッ、待っ…!言うからっ…!」

「じゃあ言いなよ。ほら、どうしたの?」


 腰を打ちつけてくるのと同じ勢いで体内

を抉られて思わず背が弓なりに反る。

 連鎖的な反射反応で根元を締めつけると

喉の奥で押しこめたような声を漏らした彼

は本格的に腰を動かし始める。

 もう躊躇している余裕さえなくなった。


「あっ、わ、私の卑しい尻ぁッ…を、その

 逞し…ッ、おちん、ひぅッ…で、グチャ

 グチャにお…犯してくださ…ッ!」

「アハハッ、センセそんなんじゃ全然何言

 ってんのか聞こえないよ?」


 パンパンと腰を打ちつけながら彼は嗤う

けれど、その度にあの場所を抉られるこち

らには腰の動きを止めてくれなければこれ

以上は無理だ。

 喉を震わせながら首を振り、言葉の代わ

りに奥まで蹂躙して掻き回すその熱棒を締

め付ける。

 痛みに呻いていた体が性器を直接刺激さ

れるのとは違う感覚を追い始めている。

 体の奥を好き勝手に掻き回され、貫かれ、

弱い場所を執拗に抉るように擦り上げられ

て味わされる一瞬の連続。

 性器を刺激することで得られる感覚が快

楽であるならば、それとは同一ではない。

 しかし反射反応でそこ突かれる度にビク

ビクと震える下半身はそれを締め付けるし、

次の一打を与えようと腰が引かれる瞬間に

感じる不安や嫌悪感の中にそれらとは違う

感情が芽生え始めていた。

 “早く”…そう思っているのは確かなの

に、その気持ちが微妙にズレてきている。

 それが何かに気づく前に思考を切り替え

た。

 それに気づいてはいけない。

 これは拘束された上で理不尽に蹂躙され

ているだけ。

 それ以上でもそれ以下でもなく、現在の

状況において自らの意志で選んだ結果など

一つもありはしないのだから。





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