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短編集・読み切り



「ココだよね、センセの弱いとこ」

「あっ…!」


 先ほど嫌というほど擦られた場所を今度

は硬いそれの出っ張りで擦られる。

 とっさに声が出てしまったけれど、慌て

て噤んで首を横に振る。

 これ以上そこを責められたくないと咄嗟

にそう返してしまったけれど、しっかりと

腰を掴んだ彼に再び口実を与えただけだと

気づいた時には後の祭りだった。


「へぇ?じゃあココ、それともコッチ?

 違うよね?センセの体は素直だし。

 ココ擦られると声出ちゃうのはどうし

 て?」

「あっ、待っ…!

 ぅぁぁっ、もう、やだぁっ…!」


 そこを擦られる度に体が弓なりに反って

その一点を責めたてる異物を締め付けてし

まう。

 何かを掻き毟りたい衝動は拘束されたま

まの手首では叶うことはなく、行き場を失

って燻る。

 逃れようと腰を引くと、それ以上の力で

押し戻されてより深くまで貫かれた。

 今この体を支配しているのが誰かを思い

知らせるように。


「ッ、締め付けスゴイね。

 そんなに締められたら出ちゃうよ?

 それともセンセは出して欲しいのかな」


 彼の声に余裕がなくなっている。

 からかう位ならせめて腰の動きを止めて

くれと言いたいけれど、言葉がまともに声

になる暇はない。

 それでも肯定ととられては嫌だと首を横

に振っていたら、やがてゆっくりと腰を引

いた彼に一気に奥まで貫かれてその責め苦

は終わった。


「これで気持ち良くないわけないよね?

 さっき萎えてたのに、もうこんなにビン

 ビンになってるし」


 ぬるりと彼の手が性器に触れた。

 触れられて初めてそれが重力に逆らうよ

うに頭をもたげていることを知る。

 視界が奪われているから今の今まで気づ

かなかった。

 性器を撫でる彼の手が濡れているのは彼

が濡らしたからなのか、それとも先ほど舌

を撫でた青臭い何かなのか。


「そんなわけ、ない。

 もうさっさと終わらせてくれないか」


 考えたくなくて、一刻も早くと願う。

 ここで騒いで虚しい抵抗をしてみたとこ

ろで彼を楽しませる結果にしかならないだ

ろう。

 今だけ。今だけ耐えればいい。

 だからこそ努めて静かな声で返す。

 全て終わったら忘れてしまおう。

 彼には紹介状を書いて他の病院へ通わせ

ればいい。

 そうすれば多忙な毎日に追われてこんな

悪夢はすぐにでも忘れてしまえる。


「おねだりならもっと卑猥な言葉で言って

 くれなくちゃその気にならないよ?」


 からかうような声。

 しかしそれが冗談ばかりでないことは、

すぐに耳に囁かれた言葉で知れた。


「そんな言葉、言えるわけがないッ…!」


 アダルトビデオ位でしか言わないであろ

う言葉に思わずカッとなってしまったが、

囁きついでに耳の端を舐め上げられてゾク

ゾクとした電気が背中を這った。





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あきゅろす。
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