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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 まずはどういう思惑で送ってきたメール

なのか確かめる必要がある。

 一息呼吸を置いてそう判断した。


《別にお前の為に作ったわけじゃねーし。

 勘違いするな》


 これで同意したら社交辞令、そうでなけ

れば何か含むところがあるんだろう。

 答えが出たら言いたいことだけ言い返し

て、あとはスマホ放置しておけばいい。

 どうせもう夏祭り会場にいるだろう。

 ごった返す人ごみの中で着信音に気づく

かどうかも怪しい。

 パソコンの作業に戻るか、と腰を浮かせ

たらまたスマホが震えた。


《あー、そうだよな。ごめん。

 でもさ》


「書きかけで送ってきやがった…」


 迷ったけれどもこれ以上メールに構う暇

が無駄に思えて、一方的にメールを送りつ

けて終了しようと指を動かした。


 ピッ


「あ?」


 メールで文字を打ち込みかけていたとこ

ろで思いがけず着信が入り、ちょうど指先

が移動した場所にあって通話ボタンを押し

てしまった。


『あ、出た。

 もしもーし?』


 ノイズキャンセルでは消しきれない喧噪

をBGMに間の抜けた桐生駆の声がスマホ

から届いた。


「あ゛っ?」


 思わず出た声はもう不機嫌を隠しもしな

い。

 電話なんて面倒だからメールで済ませた

い主義で、それに出させられたのが気に入

らない。

 だから不機嫌なのは当たり前だ、という

のが青年の主張だ。


『眠いとか言ってやっぱ起きてるじゃん。

 起きてるなら夏祭りこないか?』

「い、か、な、い。

 面倒くせぇって言ってんの分れよ!」


 いい加減にしつこいという苛立ちのみで

答えたが、相手側は喧騒が相当煩いのか聞

き返してくる。

 もう返事も面倒になって一方的に通話を

切ろうとボタンに指を伸ばした。





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