悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*
人の少ない壁際で歩いたり滑ったりして
体が慣れてから滑り出すと感覚をだいぶ取
り戻してきて自分の足で滑ることができて
楽しくなってくる。
「もう手繋がなくても大丈夫だから」
「あかん。迷子になったら面倒やし。
何のためにスケート来たと思うてるん」
繋いでいる手にぎゅっと力がこもった。
…まさかただ手繋ぎたかったからとかじ
ゃ…ないよな?
いつもはもっとすごいことしてるんだ
し…。
やることさんざんやってしまったのに、
今更それだけの理由でわざわざこんな人の
多いスケートリンクに連れてきたんだろう
か。
でもデートらしいデートは初めてだなと
思ったら新鮮でちょっと照れてしまう。
べ、別に付き合ってるとかいうんじゃな
いからデートじゃなくてただ遊んでるだけ
だけど!
「俺は手を引かれるより一緒に滑れた方が
嬉しいけど…」
「うん?何か言うた?」
小さく呟いた声はキャッキャッと響く子
供の声に掻き消され、クロードの問いには
首を横に振っておいた。
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