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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 連れてこられたのはスケートリンクだっ

た。

 華やかなクリスマスソングのBGMをバッ

クにカップルや家族連れで賑わっている。

 しかしイブということでものすごい混ん

でいて、滑る場所あるのかな…と不安にな

った。



「うわっ…なんやこれ。

 日本人がクリスマスは外で遊ぶってここ

 まで…?」

「……?

 イギリスだって似たようなもんだろ?」


 むしろヨーロッパなのだから、もっと華

やかなくらいじゃないんだろうか。

 なんたってキリストの誕生日だし。


「ないなー。

 クリスマスは基本的に家で家族と過ごす

 日やし。

 店も公務員も休み。

 外出歩く奴の方が少ないんちゃう?」

「え?えぇっ?」

「日本でいうとこの正月の三が日より人は

 いてへんちゃうかなー。

 まぁええわ。せっかくだから滑ろ」

「え?す、滑るの?

 俺久しぶりだから…」

「ええって。エスコートしたるよ」


 及び腰の俺にニッコリ笑いかけてスケー

ト用の靴を履かせ、有無を言わさずリンク

に連れ出すクロード。

 しかし人が多いリンクはバランスを崩す

だけで人の流れを乱してしまいそうで、俺

の手を引き壁際を離れてスイスイ進んでい

くクロードに掴まっているだけでいっぱい

いっぱいだ。

 せめてもう少し慣れてから…と思うの

に、簡単な口頭説明くらいで慣れる暇も

なく手を引かれて完全にクロードのペー

スに乗せられてしまった。


「ちょっ…早いっ!」

「ええやん。

 滑られへんなら俺がリードしたるよ」


 そういう問題じゃない。

 カッコ悪いしスケートを楽しむ余裕がな

いんだけど。


「ちゃんと自分で滑りたいんだけど」

「しがみついてくる駆がかわええのに」


 …とりあえず頬をむにっとつねってやっ

た。





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あきゅろす。
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