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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 ピピピピピピ…


 メールを返信してからどれだけの時間が

過ぎただろうか。

 酷使した目を保冷材のついたアイマスク

で冷やして休ませている間にまたスマホが

震えた。

 緩慢な動きでスマホに手を伸ばし、舌打

ちと共に画面を弄る。

 そして再び表示された名前は『桐生駆』

 すぐに返信するのも面倒でスマホを放置

しようとしたら指先が滑ってメールを開封

してしまった。


《今年の自由研究は自信作?

 楽しみにしてる》


「別にお前の為に作ってるんじゃねーって

 の」


 勘違いするなと鼻を鳴らして、面倒にな

ったスマホをベッドの上に投げた。

 自由研究など面倒で夏休みの始めにさっ

さと終わらせてしまった。

 去年は適当に作ったものが原因でいらぬ

面倒を増やしたから、今年はクラスメイト

が寄ってくるようなものは作らなかった。

 シューティングゲームにしたのがまずか

ったのか、もっと作れゲームさせろと連日

押しかけられて何度キレそうになったの

か。

 それを黙らせるために難易度設定を追加

して、難易度MAXは絶対に攻略できない

ゲームステージを用意した。

 それが攻略できたら次回作も考えるとい

う条件で、案の定それを攻略する者は現れ

なかった。

 そうしてようやく引き下がった周囲をつ

つくような物は二度と作らないと決めた。


“今年の自由研究は自信作?

 楽しみにしてる”


「チッ、うるせーっての」



 勝手に期待して、出来て当たり前だと見

下ろしてくる。

 そして失敗したら勝手に落胆して、上っ

面だけ優しい言葉でいつまでも責め続ける

のだ。

 そういう人種は吐き気がして、唾を吐き

かけるくらいでは気が済まない。

 これだけパソコンに長時間はりついてい

る青年が学年首位を死守している理由はそ

れだというのに尽きる。


「………」


 やはり何か言い返してやろうとベッドに

腰掛けたが、いざメール返信画面を開いて

指のもっていく位置に迷う。

 何と言えばこの感情を直にぶつけられる

のか、どれだけの言葉をどういう配列で用

いれば同じだけのダメージを与えられるの

か、とっさにわからなくなってしまう。

 なにせ何を言われても傷つかないし、た

まに表情が曇ってもすぐに立ち直ってしま

う。

 だが与えられたダメージ以上のダメージ

を与えるのは、まるで子供が癇癪をおこし

たようで余計にイライラする。

 そしてもしこれが社交辞令的な意味合い

のメールならそもそも真に受けてそんなこ

とにいちいちつっかかるのがおかしい。

 それで相手にやり返しただけどと思って

いたらどれだけ滑稽だろう。

 それこそガキのやることで目も当てられ

ない。





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