悪魔も喘ぐ夜 Character Episode * この技術は諸刃の刃に近いものがある。 刃を持たなければ見知らぬ者からの攻撃 に対して無力なまま何もやり返せないが、 やり返しているところだけ見られればやは り自分が加害者に見られるだろう。 そしていけないことだと分かってはいて も自分に出来るとわかっていると試したく なってしまう。 クラッカーの大部分はフラストレーショ ンを溜めこんだ子供であるという見解があ り、相手にダメージを与えて喜ぶ様を軽蔑 してスクリプトキディと呼ぶこともある。 しかしやってはいけないことをしてしま うのは子供だけの習性ではないし、フラス トレーションをためるのも子供だけではな い。 “今日のハッカーは明日のクラッカー” と言われる所以はそのあたりにあるのだろ う。 【craze:“能力を買ってくれるのは有り難 いけど、そこまで万能じゃないよ。 何でも『切り裂ける』わけじゃない。 大事なのは自分の能力と程度を知ること さ。 そう思わないかい?” DD:“確かに君の言う事ももっともだ。 自分の能力を見誤ったピエロは落ちて床 に叩きつけられるしかないから”】 ハッカーとクラッカーは紙一重。 正気と狂気の境目がそうであるように。 自分の握り締めるナイフの刃が相手と自 分自身に向いていることを忘れると結果的 に身を滅ぼすしかない。 【mic:“DDが作ってたプログラムはどうな ったんだい?” DD:“あぁ、もう少しだよ。 華麗なレディたちが無粋な侵入者の身ぐ るみを剥いでくれる日が待ち遠しい”】 クラッキング(悪意のあるハッキング) なんて一生無縁ならばその方がいい。 しかし誰でも手を出せるモニターの向こ うの世界は使い手が思うより闇が深い。 仮面をかぶった悪意の侵入者は排除しな ければ。 しかしそれも一方では方便で、迎撃とい う形で侵入者をボロボロにしてやろうとい う一種の快楽かもしれない。 【mic:“ハハハ。 もし自分がクラッカーになったとしても DDのパソコンだけはクラッキングしたく ないね” craze:“クラッキングなんてソフトクリ ームが大好きな子供のすることさ。 micは愚かじゃないと思うけどね” mic:“それを『Ripper』に言われるとは 思わなかったよ” craze:“クラッキングなんてそんな大そ れたことはしてないよ。 ただちょっと…そうだね玄関から庭先を 覗いてるだけさ”】 自分たちのいる場所の危うさを知ってい るからこそ慎重になる。 弱い者ほど大きな声で吠えるが、能ある 鷹は爪を隠すものだ。 それはやはりどこの世界でも同じだろ う。 [*前][次#] |