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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode



「そうですか。

 じゃあバスルームを使い終わったら麗に

 声をかけて下さいね」

「うん、わかった」


 返事をしたものの、遠ざかる兄貴の足音

を聞きながら俺は頭を抱え込んだ。

 麗は俺がノックすると必ず顔を出す。

 尻尾はともかく頭に生えた耳をどう隠す

べきか。

 いや、麗だけではない。

 見られたくないのなら、いつ部屋から出

てくるかも分からない兄貴だって警戒しな

いといけない。

 兄貴に怪しまれたら終わりだ。

 胸の内を全て白状するまで手加減してく

れない兄貴に勘付かれたら、全てがバレる

のは時間の問題だ。

 でも最大の問題は、この耳と尻尾をどう

したら消すことが出来るのか分からないと

いう事だ。


「勘弁してくれ…」


 あのキャンディをくれた子はお礼だと言

った。

 決して悪意があってくれたわけではない

だろう。

 けれどそれによってもたらされた結果は

俺の望んだものではなかった。


「……」


 やっぱりダメ元で相談しようか。

 貰った物を考えなしに食べるからだと兄

貴に詰られそうだけど。

 麗は麗で猫みたいで可愛いとか言いそう

だけど。


「…いや、無理」


 この姿は見られたくない。

 母さんや父さんには見せられても兄貴と

麗には見せたらいけない気がする。

 多分色んな意味で危険だ、きっと。

 俺はゆっくりと立ち上がりながら、とり

あえず今夜をどうやって乗り切るかを頭を

フル回転させて考え始めた。




              END





[*前]

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