悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*
「……」
カーテンの隙間から赤い月が顔を覗かせ
る。
俺の努力など無意味だと嘲笑うように空
高くから見下ろして、遠い祖先の代から負
ってきた業を忘れるなと体内の血をたぎら
せる。
夜空に浮かぶその姿は大きなジャック・
オー・ランタンのようで、地上を余すこと
なく見下ろしている。
何処に居ても、誰と居ても、その光から
は逃れられないのだと。
俺はただ人として平穏に生きたいだけな
のに。
ドクン…
俺を挟んで言い合いをしている３人の声
はどこか遠く、人としての意識がグラグラ
と揺れて曖昧になっていく。
いつの間にか入り込んできたこの３人と
過ごす方が、実は夜の街をフラつくよりも
ずっと危険なのではないか。
そう思いはしたが、それを実行できるだ
けの体力もチャンスも俺には残されていな
い。
人でありたいと願っても生まれ持った性
がそれを許さないのだ。
ドクン…ドクン…
今夜は赤い月の昇るハロウィン。
街には悪霊と魔物とが犇めき、生と死と
血と悲鳴が溢れる夜。
この牙に肌を突き破られたいと望むなら、
ドクン…ドクンッ…
-May the magic of Halloween be with you-
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