悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*
それでもお兄ちゃんの夢に渡る度に思
う。
お兄ちゃんの夢の中にならずっといたい
のにって。
他人の夢になんか渡りたくない。
汚いもの、醜いものを見れば見ただけ、
お兄ちゃんの腕が、夢が、恋しくてたまら
ない。
でもお兄ちゃんはやっぱりレム睡眠に引
かれて意識を閉じてしまう。
その間は別の誰かの夢に渡るしかなく
て、いつも胸が切なくなった。
夢の中で独占出来ない分だけ、足りない
分だけ、現実の世界で沢山キスしてハグし
た。
お兄ちゃんにベッタリなぼくをからかう
ような友達はいつの間にか周りからいなく
なって、いつでもお兄ちゃん優先のぼくに
“しょうがないな”って言ってくれる友達
だけが残った。
それでも物足りなくて、ずっとお兄ちゃ
んと居たかった。
もっともっとお兄ちゃんに触れていたか
った。
でもいつの間にかお兄ちゃんには隠し事
ができて、ずっとお兄ちゃんを求めていた
兄さんがお兄ちゃんの夢を占め始めた。
ぼくはぼくでモヤモヤしっぱなしの自分
の気持ちをどうすればいいのか解らなくて
持て余していた。
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