[携帯モード] [URL送信]

悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 言ってしまってから後悔した。

 今まで僕の周りを囲んでいた子達が、今

度は悪口を言った子を見ながらヒソヒソと

話してる。

 お兄ちゃんの悪口を言った子は俯いて唇

を噛み締め、両の手で拳をつくり、赤くな

ったり青くなったりしながらブルブル震え

ている。



「しょーこもないのに勝手なこと言うなよ

 っ!嘘つき!」


 最後にその子は真っ赤になって怒鳴り逃

げていった。


「嘘じゃないもん…」


 それ以上追い詰めるのは可哀相で、だけ

どぼくは嘘つきじゃなかったから走り去る

背中を見ながらボソッと呟くだけにしてお

いた。



 それからその子は、友達の輪の中心には

いなくなった。

 ちょっとリーダーっぽい役の子だったの

に、すっかり荒んで友達の手にも負えなく

なって、やがて誰とも口をきかなくなって

いった。


 その姿を見ながら、でもやっぱりお兄ち

ゃんを悪く言ったのは許せなかったぼくは

複雑な心境だった。





 “これからは夢の中で見たことは誰にも

言わないようにしよう”

 そう決めたのはこの時だ。





[*前][次#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!