悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*
言ってしまってから後悔した。
今まで僕の周りを囲んでいた子達が、今
度は悪口を言った子を見ながらヒソヒソと
話してる。
お兄ちゃんの悪口を言った子は俯いて唇
を噛み締め、両の手で拳をつくり、赤くな
ったり青くなったりしながらブルブル震え
ている。
「しょーこもないのに勝手なこと言うなよ
っ!嘘つき!」
最後にその子は真っ赤になって怒鳴り逃
げていった。
「嘘じゃないもん…」
それ以上追い詰めるのは可哀相で、だけ
どぼくは嘘つきじゃなかったから走り去る
背中を見ながらボソッと呟くだけにしてお
いた。
それからその子は、友達の輪の中心には
いなくなった。
ちょっとリーダーっぽい役の子だったの
に、すっかり荒んで友達の手にも負えなく
なって、やがて誰とも口をきかなくなって
いった。
その姿を見ながら、でもやっぱりお兄ち
ゃんを悪く言ったのは許せなかったぼくは
複雑な心境だった。
“これからは夢の中で見たことは誰にも
言わないようにしよう”
そう決めたのはこの時だ。
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