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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


『翌日、青年は母親にもたされた弁当を持

 って雨乞いに出かけました。

 山を越え、橋を渡り、その向こうの山も

 越えて…。

 ついに龍神が棲むという洞窟の前まで来

 た時にはもう、お供え物の団子まで食べ

 てしまっていました』


 雨乞いに来たのに、それに必要なお供え

物がないって本末転倒じゃないかなぁ…。


『いいの、着いたの。

 さぁ中に入って雨乞いしなさい』


 雨乞いしろって言われても…。

 俺、雨乞いの仕方なんて知らないんだけ

ど…。


『ガタガタ言わずにさっさと行け』


 ドンッ!


「うわっ!?」


 気配なんかしなかったのに、いきなり背

中を誰かに突き飛ばされた。

 なんで!?


『細かいことは気にしなーい』


 …これ以上何かされても怖いな…。

 とりあえず入ってみよう…。


 すでに空には夜の闇がおりていて、洞窟

の中は明りすらないままでは何も見えなか

った。


「だ、誰かいませんかー?

 雨乞いに来たんですけどーっ」


 幽霊でもでそうな雰囲気で、その恐怖を

紛らわす意味でも声を出すのに意味があっ

た。

 しかし声は木霊するばかりで返事はな

い。





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あきゅろす。
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