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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


『さてこの青年の両親が仕事を終えて帰っ

 てきました…』


「ただいまー。あー、疲れた」

「ただいま。そうね。

 ご飯を食べてゆっくり休みましょうか」

「あ、父さん、母さん…」


 で、でもあれ…?

 なんであんな服着てるんだ?

 まるで昔話の百姓みたいな…。


『みたいな、じゃなくて百姓です』


 …なんだろう。

 すごくあの声に何か言いたくなってき

た…。


「あら、やっと目が覚めたのね!

 どう?体は痛くない?」


 母さんが畑仕事の道具を置いて近づいて

きた。

「やっと?あ、イタタタタ…」


 母さんの言葉を聞いたらいきなり頭痛が

して頭を抱え込んでしまう。


「無理に動いたらいけないよ?

 頭にたんこぶできてたしね」


 たんこぶって…え?何かしたの、俺?


「イタズラ猿にも困ったものね。

 いくらなんでもあんなに大きな桃を投げ

 つけることないのに…」

「桃…?」


『実はこの青年、近所に住む悪戯好きの猿

 に巨大な桃を投げつけられて気を失い、

 そのまま数日間眠ったままなのでした』


 …うん。それは打ち所悪いと死ぬよな?


『死んだら話が始まらないので大丈夫。

 ちなみにその桃からは元気な赤ちゃんが

 生まれて、のちに桃太郎と名付けられ、

 帰ってきたらかぐや姫と結婚するんだ!

 と意気揚々と鬼が島へ鬼退治に向かいま

 した』


 …………。

 うん。むしろ何か言ったら負けな気がし

てきた。





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あきゅろす。
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