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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*



「さ、行きましょう。

 ピンク色の方くださいな」

「う、うん…。

 あの、ありがとうね。

 帰ったらちゃんと払うから」


 会計を終えて莉華が戻ってくる。

 莉華の分の方だと思われるクレープを手

渡しながら申し訳なく言うと莉華は茶目っ気

たっぷりに笑った。


「このくらい、いいんですのよ。

 でもちゃんと冬コミ最終日まで付き合っ

 てもらいますわよ?」

「はいはい」


 もうこれは諦めるしかなさそう、かな。

 まぁ、最初からそのつもりだったからい

いけど。


 莉華が選んでくれたクレープはとても甘

くてナッツの歯ごたえと風味がたまらなく

美味しかった。

 なんだかんだで莉華には敵わないなぁと

心の中でぼやきながら、当たり前みたいな

顔で腕を絡めてきた莉華と二人クリスマス

の街を歩き出した。





 莉華の家に戻って作業を再開した。

 リフレッシュした後の作業ははかどった

けど、黙々とした作業はふと気づいた時に

はだいぶ肩が凝っていた。

 莉華の両親が帰ってきたのは、そろそろ

休憩したいなぁと思った時で。


「ただいまー。

 何、またやってるの?

 3年生だって言うのに呑気なもんねぇ」


 もうあと少しで日付も変わろうとする時

間に帰ってきた夕子さんが顔を覗かせ、毎

年恒例の光景を見て仕事で疲れた顔に苦笑

いを浮かべた。


「あら、お母様。お帰りなさい」


 二つ折りにした紙の束の最終チェックを

していた莉華が顔を上げる。


「お帰りなさい。お邪魔してます」


 続いてぺこっと軽く頭を下げて挨拶する

と夕子さんは綺麗な赤い唇で笑い声を漏ら

す。


「“お邪魔してます”なんてかしこまらな

 くていいのに。

 手のかかる莉華の面倒を見てくれてるん

 だから、こっちのほうがお礼を言わなき

 ゃいけないの。

 ごめんね、せっかくのクリスマスにこん

 なことさせちゃって」

「いえ、そんな…」





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