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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 密着してくる莉華の体温と人ごみに慣れ

てきた頃、鼻先を甘い匂いが撫でた。


「あら、クレープですわね」


 その甘い匂いの原因は少し先にあったク

レープ屋さん。

 ここもクリスマスのせいかいつもよりも

随分と並んでいる人が多かった。


「ふーん。

 3種のベリー、美味しそうですわね。

 恵は?」

「え、買うの?結構並んでるよ?」

「いいじゃありませんの。

 さ、恵は何がいいんですの?」

「でもお財布置いてきちゃったし…」


 本当にホッチキスの芯だけだと思ってい

たからほぼ手ぶらできてしまった。

 毎年この時期の莉華を見てれば寄り道な

んてするとは思えなかったから。


「わかりました。

 じゃあちょっと待ってて下さいな」


 莉華が腕を解いて行列の最後尾に並びに

行く。

 でもクレープを作るのには少し時間がか

かるだろうから、その間に通りに面してい

る店を覗いてみることにした。

 やっぱりクリスマスだけあってどの店も

フェアをやっているし人で溢れている。

 まぁそれに目を瞑れば気軽にクリスマス

気分を味わえる空気がそこにあった。

 ふと足を止めたのはアクセサリーを並べ

ているお店。

 店頭に並んでいるアクセサリーが綺麗

で思わず見入ってしまった。

 金や銀、色とりどりの宝石で輝くアクセ

サリー。

 眺めているだけでも楽しくなってしまっ

て、つい時間を忘れてしまった。


 ふと目にとまったのは、銀のハート型の

トップがついたオシャレなネックレス。

 ポイントに緑色の宝石がついていて、ハ

ート型の尖った部分同士をくっつけるとク

ローバーの形になるっていうペア仕様のネ

ックレスだった。


 いいなぁ。

 恋人だったらこういうのつけるんだろう

なぁ…。





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あきゅろす。
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