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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「一区切りついたら、ちょっと買い物に出

 ません?」

「買い物って…何か買い忘れたの?」


 冬コミ前に出かけようなんていつもの莉

華なら言わない。

 何故ならいつもコピー本の製作に追われ

ているから。

 それがなんで今年は…と思っていたら理

由は簡単だった。


「ホッチキスの芯の在庫がもうなかったん

 ですわ。

 買いに行かないと足りませんの」


 …さいですか。


 お人形さんのような可愛らしい容姿の莉

華自身が私よりもクリスマスというイベン

トには縁がないのかもしれない。


 いや、紙の上では別の意味でたっぷりク

リスマス満喫しているけれども、うん。


 とにかく作業にひと段落ついたら息抜き

ができる。

 温かいココアを飲み終わったら、目の前

の紙の山と格闘することにした。





 華やかなイルミネーションで彩られた街

は吐息が白くなる寒さの中でも明るい人々

で賑わっていた。

 行き交う人の中には手を繋いで歩く恋人

達もちらほらいて、やっぱりクリスマスら

しい景色に見てるこっちまで嬉しくなって

しまう。


「お待たせしましたわ。

 さ、行きましょう」

「えっ?

 ちょっと、莉華っ?」


 莉華は会計を終えて文具店から出てきた

けど、するりと莉華の腕が絡んできたと思

った時にはもう腕を絡めとられていた。


「あ、歩きにくいから…っ」

「あら、恵がちゃんと密着しないのが悪い

 んですのよ?」


 教室内で他の友達としゃべりながら腕を

絡められたことはあるけど、街中で歩きな

がらなんて経験がない。


 …ていうか、友達同士でこんなことす

る?


 でも莉華の勢いは有無を言わせない空

気があり、仕方なく莉華の隣を歩くしかな

かった。





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あきゅろす。
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