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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「それにしても…高校最後のクリスマスに

 やることがこれって…」


 部屋いっぱいにひしめく紙の山を見なが

らもう一度溜息をつく。

 年を重ねるごとに莉華の作るコピー本は

コピー本というボリュームではなくなって

いく。

 コピー本だと言っても、ただ紙を二つ折

りにしてガシャンガシャンとホッチキスで

止めるだけの簡単な代物じゃない。

 表紙、遊び紙、ホッチキスの処理、糊の

選び方などなど…本の内容だけでなく本そ

のものを『作品』として意識している莉華

のこだわりにはどこか職人に通じるものが

あるんじゃないかと見ていて感心してしま

う。


 …まぁページ数といい装丁といい、明ら

かに最初から私まで戦力の頭数にいれてる

気がするけど…。

 
 もし私が断ったらどうするつもりなんだ

ろうと思うこともあるけど、きっと莉華な

ら1人でもせっせと作るんじゃないだろう

か。

 そう思うから断りきれない側面もあるん

だけども。


 とはいえ、私たちはれっきとした高校3

年生。

 全国のセンター試験を目前に猛勉強して

いるであろう受験生を敵に回しそうなこの

状況は、二人ともすでに推薦入試を受けて

合格し、春にはそれぞれの学校に通うこと

がすでに決まっているから。

 莉華は四大の文学部に進んで、私は調理

の専門学校へ。

 来年の今頃はどうしてるんだろうと考え

ても何も思い浮かばない。

 恋人と甘いクリスマスなんて…あるんだ

ろうか。





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