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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「はぁ〜…」


 世間はクリスマスだというのに、なんで

こんなことをしているんだろうと思うと溜

息が止まらない。


「恵、手が止まってますわよ?」

「はいはい…」


 横にいる莉華の一言に仕方なく止めてい

た手を動かす。

 目の前にはちゃんと見たらダメな気がす

る文字の山…いや、それがコピーされた紙

の山。

 挿絵が挿入されているページもあるけれ

ど、そのあからさまな濡れ場の描写に固ま

っていられるのは最初だけで、その紙をせ

っせと折っていかなければこの山は片付け

られない。

 そのうち慣れていく恐怖と、なんでこん

なことしてるんだろうという途方に暮れる

感情が頭の中で疲労と混ざって発酵する。

 でも深く考えたら負けだと自分を洗脳す

るしかない。

 冬コミに参加する莉華がおまけで配布す

るコピー本の製作に毎年付き合わされて、

ここ数年クリスマスは基本的に莉華の部屋

で過ごしてきた。

 でもそれを嫌だ嫌だと思いながらも結局

断れないのは…。


「恵、喉渇きません?」

「うん。なんか飲みたいね。

 ココアとか」

「じゃあちょっと待ってて下さいな」


 莉華が立ち上がって部屋を出ていったタ

イミングで両腕を思いきり伸ばして伸びを

する。

 せっせと紙を二つ折りにする作業は単調

作業だけど失敗できないというプレッシャ

ーがかかるから非常に目が疲れるし肩も凝

る。





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あきゅろす。
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