悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*
その日は部活も休ませてもらって急いで
帰ってきた。
そもそもの拾い主 秋月と一緒に。
家に帰りつくと、子猫は小さく丸まって
寝息をたてていた。
空気のわずかな揺れに気づいたのか、眠
っている子猫の耳がぴくぴくと動く。
それに気づいて秋月と二人、声を潜めて
笑いあった。
小さな体が呼吸の度に上下する。
お腹いっぱいになって安心しきったの
か、それとも食べ物の夢でも見ているの
か、その寝顔はどことなく笑っているよ
うに見える。
小さなぬくもりが今目の前で鼓動を刻
んでいることが一つの奇跡のようだ。
ふわふわな天使みたいだ、と秋月は言
う。
オレもそう思った。
この天使の前でなら素でいられる。
きっとオレでも私でも関係なく懐いて
くれて甘えてくれる。
かつて家族だった愛猫チャコがそうだ
ったように…。
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