悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*
母さんと父さんは互いに視線を交わす。
どうだろう。ダメかな?
でもチャコが使ってたのの余ったペット
シートとか残ってたはずだし…。
「あ、あのっ、私、秋月沙耶です。
責任もって里親探しするので、
どうかお願いしますっ」
すぐ後ろを振り返ったら、まだ息が整わ
ない彼女が勢いよく頭を下げていた。
「アキラのお友達?」
「うん。クラスメイト」
今さっきまで話したこともなかったなん
て本当のことを言ったらダメって言われそ
うでとっさに頷いていた。
子猫に罪はない。
「…ミャー…」
子猫の鳴き声が響いた。
彼女のポケットがモゴモゴ動いている。
「あら、連れてきちゃったの?」
「だって往復してる時間なかったから」
ポケットから出してもらった子猫はプル
プルと小さな首を振った。
「あら可愛い」
その愛くるしい姿に顔を綻ばせて、母さ
んは子猫に顔を近づけた。
以前飼ってた愛猫チャコにもよくしてい
た、猫同士の挨拶。
本能に刷り込まれていることなのか、子
猫は教えられてもないのに自分からも顔を
近づけてクンクンと小さな鼻をならした。
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