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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 小学校の頃から通知表で一番成績がよか

ったのは体育。

 九九を教室で暗記するより校庭でサッカ

ーボールをけって蹴っている方が楽しかった。

 付き合う友達も断然男友達のほうが多く

て、思春期に入り化粧やオシャレに興味を

示す女子のグループには入って行けずにい

た。

 しかし男子も中学、高校と成長していく

うちに性に対して過敏になっていき、一緒

につるむこともなくなっていった。

 女子のグループにも入れず、男子のグル

ープにも入れず、完全に居場所を見失って

しまった。

 頭がいいわけじゃないから勉強も楽しく

ない。


 
 それでも学校に行くのは陸上が…部活動

があるから。

 小学校の頃にクラスで足が速かったとい

うだけで中学は陸上部に入り、高校もその

まま陸上部に入った。


 走っている間は楽しい。

 風を切って、地面を蹴って。

 ただ速く、速く。


「うん…?」


 どこかからかすかに子猫の鳴き声が聞こ

えたような気がする。

 気のせいだろうかと思いながらも視線は

探してしまった。


 人目を避けるような公園内の道からは外

れた場所に子猫はいた。

 傍に居るのは通っている高校の制服を着

た女子。

 離乳食用のカップが空になっている。

 お腹いっぱいになっただろう子猫は女子

生徒に甘えてゴロゴロと喉を鳴らして体を

擦りつけている。

 でも、子猫の首には首輪がない。

 こんな朝方に子猫の散歩でないだろうこ

とは明らかに見て取れた。





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